フォルクスワーゲン・ジェッタ 2.0 TSI(FF/6AT)揉まれた環境の違い

日本でのフツーとアウトバーンを有する国のフツーはとんでもない隔たりがある。国産2リッター、4ドアの大衆セダンを思い浮かべてほしい。体験した者ならこそ違いが判る。

日本でのフツーとアウトバーンを有する国のフツーはとんでもない隔たりがある。国産2リッター、4ドアの大衆セダンを思い浮かべてほしい。体験した者ならこそ違いが判る。

「毎日の足」としての地位

フォルクスワーゲン・ジェッタは、1979年に初代が登場したセダンだ。

初代ジェッタは、ゴルフをベースにしつつ、トランクを備えた3ボックススタイルのデザインが特徴だった。

当時のハッチバックブームとは異なり、実用性とスタイリッシュさを両立したジェッタは、北米市場を中心に大ヒット。信頼性の高いエンジンと、質実剛健な作りが評価され、「毎日の足」としての地位を築いた。

フォルクスワーゲン・ジェッタ 2.0 TSI(FF/6AT)揉まれた環境の違い

2代目ジェッタ(1984年)はボディサイズが一回り大きくなり、室内の広さと快適性が向上した。安全性能も強化され、特に衝突安全性が高いと評判になった。

3代目(1992年)はデザインが大きく変わり、丸みを帯びたフォルムでエアロダイナミクスを意識した設計に。質感も向上し、コンパクトながら上質なセダンとして人気を博した。

4代目(1998年)では高級感がさらに増し、内装の質感や走行性能が一段と進化。特にインテリアはゴルフとの差別化が図られた。

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5代目(2005年)は、ボディ剛性が向上し、パワートレインの選択肢も広がった。

6代目(2010年)はシャープで直線的なデザインが特徴で、スポーティさを意識したモデルとなった。

現行モデルの7代目(2018年)は、MQBプラットフォームを採用し、軽量化と剛性向上を両立。

デザインは洗練され、先進安全技術も充実。ジェッタは時代ごとに進化しながら、質実剛健さと実用性を磨き続けてきた。ゴルフと並ぶ「信頼のブランド」として、今も多くのファンに支持されている。

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「信頼できる走り」を実現

フォルクスワーゲン・ジェッタの走りは、初めてハンドルを握った瞬間からその完成度の高さに気づかされる。

2リッターTSIターボエンジンは、スペック上では控えめに見えるかもしれないが、実際には非常にバランスが良い。

アクセルを踏み込むと、ターボラグも少なく、リニアに力が湧き上がる。街中でのストップ&ゴーもスムーズで、高速道路の合流や追い越しも安心してこなせる。

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ステアリングフィールは絶妙で、軽すぎず、重すぎない。そのため、カーブでの操作が自然で、クルマの動きが手に取るようにわかる。

特にワインディングロードでは、クルマが意のままに動いてくれる安心感がある。

ボディ剛性が高いため、路面からの振動も適度に抑えられており、カーブでも姿勢が安定している。ジェッタは「スポーティ」ではないが、「信頼できる走り」を見事に実現している。

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乗り心地もまた、ジェッタの大きな魅力だ。サスペンションは硬すぎず、柔らかすぎず、絶妙なバランスを保っている。

路面の凹凸をしっかりと吸収し、長距離ドライブでも疲労感が少ない。高速道路では静粛性が際立ち、風切り音やロードノイズが抑えられているため、リラックスしたドライブが楽しめる。

ジェッタはまさに「日常使いに最適なセダン」と言えるだろう。

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役割をしっかりと果たす

ジェッタの内装は、フォルクスワーゲンらしい「質実剛健」な仕上がりだ。

無駄な装飾は排除され、機能性と使いやすさが徹底されている。ダッシュボードやドアパネルには上質な素材が使われ、触れるたびに「しっかり作られている」という安心感がある。

シートは適度な硬さとサポート性を兼ね備え、長時間座っていても疲れにくい。シートヒーターや空調システムも優秀で、季節を問わず快適に過ごせる。

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操作系は直感的で、必要なボタンやスイッチが手の届く位置に配置されている。

デジタルディスプレイは視認性が高く、必要な情報が一目でわかる。インフォテインメントシステムも先進的で、スマートフォンとの連携もスムーズ。

こうした細やかな配慮が、日々のドライブをより快適にしてくれる。

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燃費性能も魅力だ。2リッターTSIエンジンは効率が良く、街乗りや高速道路での実燃費も優秀だ。給油回数が少なくて済むのは、忙しい現代人にとって大きなメリットだろう。

また、経済的なだけでなく、環境への配慮も忘れていない。ジェッタは、派手さこそないが「毎日の質」を少しずつ確実に高めてくれる。

クルマは単なる移動手段ではなく、日常の「相棒」だ。ジェッタはその役割をしっかりと果たし、乗れば乗るほど、その魅力が心に残る一台だ。

SPEC

フォルクスワーゲン・ジェッタ 2.0 TSI スポーツライン

年式
2009年式
全長
4565mm
全幅
1785mm
全高
1470mm
ホイールベース
2575mm
車重
1410kg
パワートレイン
2リッター直列4気筒ターボ
トランスミッション
6速AT
エンジン最高出力
200ps/5100~6000rpm
エンジン最大トルク
280Nm/1800~5000rpm
タイヤ(前)
225/45R17
タイヤ(後)
225/45R17
  • 上野太朗 Taro Ueno

    幼少から車漬け。ミニカー、車ゲーム、車雑誌しか買ってもらえなかった男の末路は、やっぱり車。今、買って買って買ってます。エンジンとかサスとか機構も大事だけれど、納車までの眠れない夜とか、乗ってる自分をこう見られたいとか、買ったからには田舎に錦を飾りにいきたいとか、そんなのも含めて、車趣味だと思います。凝り固まった思想を捨てたら、窓越しの世界がもっと鮮やかになりました。

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