レンジローバーSV P530(4WD/8AT)カリナンの向こう側

カリナンの官能を知っていても、なお「欲しい」と思わせる完成度。構築美と理性で魅せる、レンジローバー最上位──SVが描く新しいラグジュアリーのかたち。

カリナンの官能を知っていても、なお「欲しい」と思わせる完成度。構築美と理性で魅せる、レンジローバー最上位──SVが描く新しいラグジュアリーのかたち。

欲しいと思わせる完成度

所有欲を非常に掻き立てる一台だ。

最新の、そして通常ラインナップにおける最上位グレード──レンジローバーSV。

外装はオストゥーニ・パールホワイト・メタリック。

そこに差し色のようにゴールドとブラックが映える。角度によって銀にも乳白にも見えるこのホワイトは、ただの清潔感ではなく、威厳を湛えた柔らかさを持つ。

レンジローバーSV P530(4WD/8AT)カリナンの向こう側

そしてドアを開けると、タンとアイボリーのデュオトーンインテリアがその印象をやわらかく受け継ぐ。

外装のホワイトに呼応するように、室内も明るく上品。素材の質感が高く、ステアリングまで丁寧に色が切り替えられている。

外と内が呼応するような統一感が、この個体の第一印象をいっそう鮮明にしている。

レンジローバーSV P530(4WD/8AT)カリナンの向こう側

ロールス・ロイスという魔力を持ち、雲の上を滑るようなカリナンの官能を知っていてもなお、「このクルマが欲しい」と思えるラグジュアリーの究極。

この個体は2025年登録、走行距離わずか70km。誰の手にも馴染んでいない、純粋な状態のままのレンジローバーSV。

その事実が、この一台を手にしたいという衝動をいっそう強くする。

レンジローバーSV P530(4WD/8AT)カリナンの向こう側

ひと目で特別なクルマとわかる

この個体は、「SV Bespoke」プログラムによる仕立てを受けた仕様。外装やインテリアの色使い、素材の組み合わせに、量産車にはない手仕事の温度が宿っている。

ボディカラーはSVを象徴する特別な塗装──オストゥーニ・パールホワイト・メタリック。

太陽の下では金属のように輝き、曇天では真珠のように静まる。光を吸うのではなく、磨かれた鉱石のように反射する。

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ボディの大きさをさらに際立たせ、立体感を強調してくれる。

ルーフはコントラストブラック仕上げ。

ホワイトの面をゴールドとブラックのアクセントが引き締め、広い面積を持つボディに“間”を与えている。

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白の多さに軽さや退屈さはなく、むしろ白でありながら、どこか重厚で落ち着いた印象を残す。

遠くからでもひと目でわかる。「これは特別なレンジだ」と。

ただ派手なだけでなく、距離を置いて見ても高貴さが残る──その絶妙なさじ加減に、英国のビスポーク精神が息づいている。

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SVビスポークの妙

ドアを開けた瞬間、空気の温度が変わる。

タンとアイボリーのデュオトーンインテリア。

前席と後席で色調を分ける独特のコーディネートが、空間の奥行きを感じさせる。

ステアリングも同じくデュオトーン仕上げで、手に触れる部分が暖色、外周が淡色という緻密な意匠。単なる色の違いではなく、触覚と視覚の両方で空間を分けている。

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その仕立ての隅々にまで、SV Bespokeの妙が息づいている。

素材の選び方、色の取り合わせ、そのわずかな差異が、空間そのものに品格を与えている。

最新のインフォテイメント「Pivi Pro」は、ほぼ全ての物理スイッチを排除。

必要な情報だけを表示する13.1インチの湾曲ディスプレイが、まるで建築の壁に埋め込まれたアートピースのようだ。

音声やタッチレスでの操作もスムーズで、動作の遅延がない。ここまでレスポンスが良いと、もう“待つ”という行為を忘れてしまう。

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リアにはエグゼクティブクラスシート。

電動オットマン、マッサージ、専用コントロールパネルが備わり、左右独立のシートヒーターとクーラーが完備される。

そしてレンジローバー伝統のエアサスペンションが、乗員の動きに呼応し常に“平面”を保つ。その静けさと柔らかさは、まるで音のないファーストクラスだ。

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頂を知りたいなら

エンジンをかけても、何も起きない──そう錯覚するほどの静寂。

アクティブノイズキャンセレーションが走行ノイズを打ち消し、MERIDIANシグネチャーサウンドのスピーカーがその“無音”を補正する。

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4.4リッターV8ツインターボは、その530psを声高に主張しない。加速は穏やかだが確実で、踏み込んだ瞬間、車体は抵抗を感じさせずに前へと進む。

どの速度域でも車体の姿勢は揺らがず、ステアリングの初期応答から減速姿勢までが一筆書きのように繋がる。

運転という行為が、ノイズのない作業になる。エアサスペンションは、荒れた舗装も継ぎ目も均等に処理する。

レンジローバーSV P530(4WD/8AT)カリナンの向こう側

このクルマを前にすると、「高級とは何か」という問いの答えが少し変わる。

カリナンがラグジュアリーSUVの頂点だとするなら、レンジローバーSVは別の山脈の頂に立つ。

そこにあるのは、権威や象徴性ではなく、構築美と理性で魅せるラグジュアリーだ。そのアプローチは、モダン建築や現代アートの思想に通じ、新車価格約3000万円というプライスタグにふさわしい完成度と満足感をもたらす。

レンジローバーSV P530(4WD/8AT)カリナンの向こう側

2025年登録、走行70kmの新車同然の個体。純度の高い、最新のラグジュアリーを、最良の状態で手に入れられるタイミングは限られている。

その頂を知りたいなら、自らハンドルを握るしかない。きっと、そこでしか見えない景色が待っている。

レンジローバーSV P530(4WD/8AT)カリナンの向こう側

SPEC

ランドローバー・レンジローバー SV P530

年式
2025年式
全長
5,055mm
全幅
2,048mm
全高
1,870mm
ホイールベース
2,997mm
車重
約2,560kg
パワートレイン
4.4リッターV型8気筒ツインターボ
トランスミッション
8速AT
エンジン最高出力
530ps/5,500rpm
エンジン最大トルク
750Nm/1,800〜4,600rpm
  • 河野浩之 Hiroyuki Kono

    18歳で免許を取ったその日から、好奇心と探究心のおもむくままに車を次々と乗り継いできた。あらゆる立場の車に乗ってきたからこそわかる、その奥深さ。どんな車にも、それを選んだ理由があり、「この1台のために頑張れる」と思える瞬間が確かにあった。車を心のサプリメントに──そんな思いを掲げ、RESENSEを創業。性能だけでは語り尽くせない、車という文化や歴史を紐解き、物語として未来へつなげていきたい。

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