色も、音も、距離感も。洒落た大人のセンスで乗るヴィンテージ911。若さだけじゃない、積み重ねと磨き上げが生む、いまの格好よさ。遊び心と落ち着きが、心地よく同居している。
強く主張してくるわけではない。けれど、なぜか心を引き寄せられる──そんな出会いがある。アベンチュリングリーンと呼ばれるその深緑のポルシェは、偶然という言葉の奥に、確かな必然を秘めていた。選んだというより、出会ってしまったと思える一台。
乗る前から分かっている。当たり前だ、これはいいに決まっている。一旦ターボに舵を切ったモデルを時代に抗い再び自然吸気に戻すということは誰しもができることではない。
カレラSベースで1963台のみ生産。しかしガワだけの限定車にあらず。3.8リッターのRRに通常組み合わされないワイドボディを装備し、このモデルのみの設定が輝く。
ターボを新車でオーダーする。それだけで勇気がいるのに、この個体ときたら。パープルのようなバイオレットブルーにオートマティックを選択し、極め付きは右ハンドルだ。
メッツガー。いくら時間があっても足りないだろう、語りつくすにも次々に想いがあふれ出るだろう。少しでも知ってしまったら最後、もう抜け出せなくなる何かがそこにある。
「エコ」という言葉は避けて通れない。しかしポルシェはこの際「ハイブリッド」を利用し、よりポルシェらしさに磨きをかけた。経済性を利するのでなく走りを利した、のだ。
所詮SUVとバカにする浅薄者よ、世界の「ポルシェ」がそんなヤワなクルマをつくると思いますか?ヘタなスポーツカーの域を超え、高性能スポーツカーより凄いんですから。
映画で恋仲となるヒロインと相手役が、去り際にタイミングが少しずれてお互いを振り返ることがある。貴方はクルマを離れる時、普段用途のクルマでも、そうなれていますか?
今と正反対の季節を想像して欲しい。薄暗い朝夕、街が色を失うどんよりな悪天。少しでも自然光が恋しくなるそんな時、クーペでもなく、カブリオレでもなく、タルガなのだ。
これまで色々な911は買ってきたが、タルガだけ買ったことがない。いつもタルガを買うけど、他のグレードには興味がない。911ヒエラルキーの中で孤高の存在はタルガ。
ポルシェを買おう。と思ったのはいいが、駆動方式からグレード、オプションと嬉しい悲鳴のような複雑さがある。一つ一つ選ぶも良し、GTSで。と片づけるもこれまた良し。