ポルシェ911 GT3ツーリングパッケージ(RR/7AT)ひけらかすことのない高性能

ポルシェ911 GT3ツーリングパッケージに試乗できるなんて!貴重な機会で感じた、TPにしかない魅力を文章でお届けする。

ポルシェ911 GT3ツーリングパッケージに試乗できるなんて!貴重な機会で感じた、TPにしかない魅力を文章でお届けする。

992世代911 GT3とは

992世代のポルシェ911 GT3がデビューしたのは2021年2月。ポルシェモータースポーツと緊密に協力して開発された第7世代は、GT3の文脈を継承しつつ、各所を991.2世代よりブラッシュアップしての登場となった。

911 GT3 Rのドライブトレインをベースにする自然吸気4リッター水平対向6気筒エンジンは510psを発揮。911 GT3カップのマシンにほとんど変更せずに使えるポテンシャルがあるという。最高速度は320km/h(PDK仕様車:318km/h)。静止状態から100km/hまで3.4秒で加速する。結果、ニュルブルクリンクのノルドシュライフェにおいて、自然吸気エンジンを搭載した市販モデルとして初めてラップタイムが7分を割った(オプションのミシュラン・パイロット・スポーツ・カップ2 Rを組み合わせた記録である)。

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秘密はパワーのみならず、重量にもある。ワイドなボディ、大径ホイール、そして新たに採用された技術装備にもかかわらず、GT3の重量は先代と同じ。MTは1418kg、PDKは1435kgに過ぎない。40年以上前の930カレラがおよそ1200kgであることを考ると、現代車として「軽い」と言い切れる。CFRP製のフロントリッド、軽量ガラスウインドウ、最適化されたブレーキディスク、軽合金製鍛造ホイール、およびリアシート・コンパートメント・カバーなどの採用によるところが大きい。スポーツエグゾーストシステムだけでも10kg低減しているのだという。

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フロントサスペンションがダブルウイッシュボーンに変更されたのも初めての出来事だ。ル・マンに代表されるGTレースを戦うミドシップのレーシングカー911 RSR由来だ。

ツーリングパッケージ

同じ年の6月に911 GT3に加わったのが、「ツーリングパッケージ」なるモデルだ。

「ツーリングパッケージ」という名前は、1973年モデルの911カレラRSに用意された仕様に遡る。ポルシェは2017年に再びツーリングパッケージを復活させた。

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現代のツーリングパッケージは、控えめな表現とクラシックな外観、GT3のパフォーマンスという組み合わせを体現する。

最も大きな違いは、固定式リアウイングの削除。自動展開する控えめなリアスポイラーが必要なダウンフォースを生み出す。

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またサイドウインドウのハイグロス・アルマイト製シルバーカラーのトリムストリップがクラシカルな印象を引き立たせる(エクステリアツーリングパッケージではサテングロスブラック)。インテリアにおいてはステアリングホイールリム、ギア/セレクターレバー、センターコンソールカバー、ドアパネルアームレスト、およびドアハンドルがブラックレザーで覆われる。パーシャルレザーインテリアは、ブラックのステッチが特徴。シートセンターパネルはブラックファブリック仕上げで、ルーフライナーもブラックとなる。ヘッドレストには、ポルシェ・クレストがエンボス加工される。ドアエントリーガードと、ダッシュボードとセンターコンソールのトリムエレメントは、ブラック・ブラッシュアルミニウム仕上げとなる。

ブラックのエクステンデッドレザーアイテムはツーリングパッケージ仕様車専用。ダッシュボード前部とドアトリムパネル上部セクションには、特殊エンボス加工が施される。クラシカルな演出のひとつである。

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ひけらかすことのない

テストを実施した日の天気は雨。愛知県からレセンス・メディアの本拠地がある京都までのモーターウェイが9割、一般道が1割という構成だ。

GT3の経験がある私は、まずツーリングパッケージの快適性に感心した。といっても先に記した通り、足まわりのセッティングは変わっておらず、シートによる違いが大きい。硬派なフルバケットシートに比べると、臀部/背中に伝わる衝撃はふわりと丸め込まれる。

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乗り心地もこの手の車にしては良好だ。高速巡航時、短いストロークながらアシがよく動き下からの突き上げをいなす。一般道では路面の凹凸をフルに伝えるが、堅牢なボディのおかげで車体のガタピシ感は皆無。まるでロールケージが張り巡らされた車みたいだ。

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エンジンはレースカーそのもの。というのも、たとえばGTSモデルのように官能的な演出はなく、精密に造られた可動部品が一体感をもって淡々と仕事をする感覚だ。シュンシュンと回り、しかし柔軟性もある。これこそまさに最高の演出といえる。当たり前に速く、当たり前になめらか。遮音材が省かれているせいか、時折聞こえるトランスミッションのノイズがまた特別な感情を掻き立てる。

カレラでさえ隅々まで研ぎ澄まされたスポーツカーだと感心するが、GT3に乗ると、まだまだ締め上げる余白があったのかと感動する。

ポルシェ911 GT3ツーリングパッケージ(RR/7AT)ひけらかすことのない高性能

羽のないGT3。羽がないおかげか、パツパツに張り出した極太タイヤが余計に迫力をまして見える。中を見るとクラシカル。しかしドライバーズシートから後ろを振り返ると後部座席がない。公道を走れる。しかしエンジンはさながらレースカー。でも快適。

甘い、しょっぱい、甘い、しょっぱい…。

ポルシェ911 GT3ツーリングパッケージ(RR/7AT)ひけらかすことのない高性能

ポルシェはGT3ツーリングパッケージのことを「ひけらかすことのない高性能」と表現する。雨が降りしきる京都で、うまい表現があるものだと、書き手として、そして乗り手としてしみじみ感じたのだった。

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SPEC

ポルシェ911 GT3ツーリングパッケージ

年式
2022年
全長
4575mm
全幅
1870mm
全高
1280mm
ホイールベース
2457mm
車重
1470kg
パワートレイン
4リッター水平対向6気筒
トランスミッション
7速AT
エンジン最高出力
510ps/8400rpm
エンジン最大トルク
470Nm/6100rpm
サスペンション(前)
ダブルウィッシュボーン
サスペンション(後)
マルチリンク
タイヤ(前)
255/35ZR20
タイヤ(後)
315/30ZR21
メーカー
価格
店舗
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