初代Mクラスが「メルセデスのSUV参入」という役割を担ったのに対し、この2代目は完成度を一段引き上げた世代だ。オールラウンドラグジュアリーとして、質感と快適性にこだわって作られている。セダンやステーションワゴンから乗り換えても違和感のない乗り心地は、今も健在だ。
今だからこそ
最新のメルセデスは、見た目が先進的で高級感があって、「どこか自分には似合わないのではないか」と感じている人もいるのではないだろうか。
いまのメルセデスは、LEDのグラフィックや巨大なスクリーンで未来を演出する。だがこの時代は、まだ「質感そのもの」で勝負していた。
2代目Mクラスは2005年発売なので、約20年前のデザイン。あの頃は大きく、いかつく感じたフロントマスクも、AMGラインが“当たり前”になった現代の目で見ると、どこか愛着の湧く表情に映る。
SUVでありながら威圧的になりすぎない。この絶妙なバランスこそ、この頃ならではの魅力だ。
そうそう、これこれ
運転席に腰を下ろすと、ヘタリのない張りがしっかりと残っていることに気づく。ハンドルのスレもなく、ボタン表記も鮮明で当時そのままの景色が広がる。
最新車はタッチパネルを操作して、機能を使うことが多くなったが、このクルマは物理ボタンが基本。整然と並ぶボタンの多さも、この時期のトレンドだった。懐かしさと、いま見るからこその新鮮さが同居する。
ボタンを押したときの節度あるクリック感も健在。ダイヤルの回転に絶妙な重みが残っているのは、距離を重ねていない証拠だ。
シートヒーターやサンルーフも搭載しており、気になる天井も対策済み。天張りがすでに張り替えられていることは、この年代のメルセデスにとって重要なポイントだ。
6000kmという走行距離も相まって、これからじっくり付き合っていけそうだと感じる。
さて、どこに行こう
ML350は、3500ccのV6モデル。3.5L V6は決して刺激的ではないが、7G-TRONICとの組み合わせは滑らか。回転を引っ張らずとも十分なトルクが湧き上がる。
この穏やかな出力特性が、クルマの性格とよく合っている。静かに、適度にパワフル。
そしてハンドリングは、SUV特有の曖昧さではなく、しっかりとした手応えがある。セダンやステーションワゴンから乗り換えても違和感はない。
郊外の幹線道路や高速道路では、直進安定性が際立つ。ステアリングに神経質さはなく、穏やかに路面を掴む。
一方で、市街地では意外なほど小回りが利くのもメルセデスらしい。
暴力的な音や速さはないものの、運転していて優しい気持ちになれる居心地のよさ。
あまりの心地よさに、次の約束を忘れ、このまま遠くへ走り続けたくなる一台だった。





















