一世紀に渡るロールス・ロイスを象徴するファントムの歴史は、単なる自動車の進化の物語にとどまらず、それぞれの時代の社会や文化、技術の変遷を映し出す壮大な文化史でもある。
INDEX
ビスポーク・クラフツマンシップに焦点
ロールス・ロイスは、フラッグシップ・モデル「ファントム」の100周年を祝して、世界最高峰のビスポーク・クラフツマンシップに焦点をあてたイベント「BESPOKE EXPRESSIONS - ファントム100周年を祝して」を麻布台ヒルズアリーナにて開催した。
1925年の誕生以来、ロールス・ロイスの頂点に立ち続けるファントムは、ラグジュアリー、クラフツマンシップ、そして革新性の結晶として、時代の文化や流行を形作り、その精神を牽引してきた。
その輝かしい歴史の中で生み出された多彩な創作は、今もなお個性を表現する究極の存在として、豊かなインスピレーションを与え続けており、本イベントでは、時を超えて愛され続けるファントムのビスポーク・クリエーションの魅力を、4台の特別モデルを通して余すところなく紹介した。
会場に一歩足を踏み入れると、様々な時代や製品を通してファントムの100年の歴史を映し出す映像がマルチスクリーンで映し出された。
会場内には、1930年代のヘリテージカー「ファントムII コンチネンタル」や、世界限定25台のプライベート・コレクション「ファントム・シンティラ」、唯一無二の「ファントム・オリベ」、そして日本初公開となる最新プライベート・コレクション「ファントム・センテナリー」の4台のファントムが展示された。
さらに、色鮮やかなビスポークのためのマテリアルやアクセサリー・コレクション、音楽を通じてファントムの歴史を彩ってきた様々な時代を体験できるコーナーも設けられ、訪れる方々を世界最高峰のビスポーク・クラフツマンシップが織りなす、卓越した美と感性の旅へ誘う。
ファントム・センテナリー
日本で初めて公開されるのは、ファントムの100周年を記念して製作されたプライベート・コレクション「ファントム・センテナリー」だ。
ロールス・ロイスの本拠地グッドウッドで先月発表された、世界に25台しか存在しない精巧なこのビスポーク・モデルは、一世紀にわたりファントムの歴史を形作ってきた象徴的な人物、顧客、重要モデル、旅、場所、瞬間に敬意を表してデザインされた。
3年にわたる開発期間を経て、新技法の導入と4万時間以上の作業の結晶として誕生したファントム・センテナリーは、ロールス・ロイスのデザイナー、エンジニア、職人たちからなるビスポーク・コレクティブがこれまで手掛けた中で、最も精緻かつ野心的な技術を採用したプライベート・コレクションだ。
1920年代から現代に至るまで、ファントムの時代ごとの精神とアイデンティティを探求し、著名なオーナーや、ロールス・ロイスを支えた重要人物、ファントムが構想され製造された場所、そしてそれぞれの時代を特徴づけた出来事などが金属、木材、塗装、ファブリック、レザー、刺繍でひとつの見事な作品に融合されており、一冊の書物のように、ファントムの100年の歴史を象徴的な要素と共に紐解き、この特別なモデルのオーナーとなる顧客がこれから長い年月をかけて鑑賞し、読み解いていただける豊かな物語を表現している。
ファントム・シンティラ
ロールス・ロイスを象徴するスピリット・オブ・エクスタシーへのオマージュを込めたプライベート・コレクション「ファントム・シンティラ」は、永遠のミューズであるスピリット・オブ・エクスタシーの優雅さ、躍動感、幻想的な美しさを表現した世界限定10台の特別モデルだ。
ラテン語で「閃光」を意味する言葉にその名を由来するファントム・シンティラは、ギリシャの大理石像「サモトラケのニケ」にインスピレーションを得て、スピリット・オブ・エクスタシーのフィギュアに精巧なセラミック仕上げを施している。
そのデザインは、自動車が通り過ぎる時に垣間見えるドレスの動きにインスピレーションを得たもので、スピリット・オブ・エクスタシーが車両の通り過ぎる一瞬だけ視界に写りこみながらも、長く心に残る深い印象を表現した。
エクステリアはビスポークによる2トーン仕上げで、ボディ上部にはアンダルシアン・ホワイトが、ボディ下部には「サモトラケのニケ」の由来となったサモトラケ島を囲む海の色から着想を得たトラキアン・ブルーが配されている。
繊細なメタリックフレークが海面に反射する太陽光の輝きを再現しており、手塗りのダブルコーチラインとスピリット・ブルーのホイール・ピンストライプが、優雅なエクステリアを完成させており、インテリア全体には優なビスポークの刺繍が施され、スピリット・オブ・エクスタシーのエレガントな躍動感を捉えた精緻なギャラリーのアートワークが展開されている。
ファントム・オリベ
2021年に発表されたファントム・オリベは、日本古来の陶器である織部焼の暗緑色とクリーム色の釉薬から着想を得て、実業家の前澤友作氏のためにロールス・ロイスとエルメスのビスポーク・スペシャリストがコラボレーションし誕生した。
双方のブランドが誇る素材、技法、ノウハウを駆使し、密に連携してデザインし、熟練の職人たちによって製作された唯一無二のモデルで、近年のビスポークのファントムを代表するこの壮麗な一台は、大胆で明確、かつ想像力豊かな前澤氏のビジョンを具現化し、プライベートジェットの静謐なエクスクルーシブ空間と対をなす「陸のジェット」として構想された。
エクステリアには、織部焼にインスピレーションを得た「MZオリベ・グリーン」と名付けられたビスポークの特別な塗装が施されており、インテリアは、パリのエルメスのデザイナーや職人たちと、グッドウッドを拠点とするロールス・ロイスのビスポーク・コレクティブのデザイナー、エンジニア、職人たちが心を一つにし、力を結集してつくり上げたもので、顧客の心に描かれたビジョンがユニークかつ現代的な表現で調和的に受け継がれている。
すべてのディテールにおいて、両ブランドが誇る伝統を体現する仕上がりを追求し、織部焼特有の深みのある光沢を持つ釉薬が見事に表現されており、職人たちの知見、ビジョン、技術、そして精神が融合したこの一台は、両ブランドの最高峰の職人とその卓越した技術力を映し出している。
ファントムII コンチネンタル
ファントムII コンチネンタルは、1930年代に世界でわずか279台のみ生産されたヘリテージカーだ。
この希少な車両は、ファントム II よりホイールベースが短く設計されており、世界中の最高級コンコースの芝生でよく見られ、戦前のロールス・ロイスの中でも特に重要なモデルの一つとされている。












