ランボルギーニ・ウルス(4WD/8AT)みんなのランボルギーニ

ランボルギーニ・ウルスは、従来のランボルギーニ基準で期待すると、扱いやすく感じられる。しかしそこにはきちんと需要があり、売れていることが存在を正当化するのだ。

ランボルギーニ・ウルスは、従来のランボルギーニ基準で期待すると、扱いやすく感じられる。しかしそこにはきちんと需要があり、売れていることが存在を正当化するのだ。

ランボルギーニ・ウルス

ランボルギーニ・ウルス。英語ではオーロックス。野生牛を意味する。

はじめてその存在が明らかになったのは2012年。北京モーターショーでのことだった。SSUV=スーパー・スポーツ・ユーティリティ・ビークルとランボルギーニが称するこの車のデリバリーはその6年後。

基本コンポーネントはランボルギーニを傘下にもつフォルクスワーゲン・グループの共通アーキテクチャ=PL7x系プラットフォーム。ポルシェ・カイエン、ベントレー・ベンテイガ、アウディQ8と同じものだ。とはいえウルスには大幅かつ独自の改良が施された。

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「快適な乗り心地、高い地上高、ラグジュアリーな室内空間」をめざし、「街中での運転のしやすさ、長距離ドライブでの快適性、一般道とサーキットにおけるスーパースポーツカーのダイナミクス、さまざまな環境でのオフロード性能を提供」と同社はうたった。

ボディサイズは、全長:5112mm、全幅:2016mm、全高:1638mm、ホイールベース3003mm。車重:2200kg。

4リッターV8ツインターボは、最高出力650ps/6000rpm、最大トルク850Nm/2250-4500rpmを発生する。エンジンは前置きだ。トランスミッションは8速ATのみ。駆動方式は4WDとなる。

標榜する0-100km/h加速は3.6秒。最高速度は305km/h。燃料消費率の公表値は約7.8km/リッターと発表された。

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ウルスのど派手な内外装

エクステリアの3分の2はボディ、3分の1はガラスエリアである。これはランボルギーニのプロダクトの原則を踏襲している。

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ディテールは六角形をテーマにデザインされている。この文法はインテリアにも共用され、5人乗り。スライド機構のリアシートを折りたためば1596リッターの荷室が生まれる。標準時は616リッター。カイエンクーペよりも100リッター弱大きい。

ランボルギーニ・ウルス(4WD/8AT)みんなのランボルギーニ
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外装はSUV、いやSSUVとはいえ、ランボルギーニのデザイン言語そのものであり、実物をみて驚くのはボディパネルの「折り目」が予想以上に多く、シャープでエッジの効いた外観である点。結果的にこの手のサイズの車の「膨張感」とでもいおうか、大きく持て余している感じが少ないとさえ感じる。

ランボルギーニ・ウルス(4WD/8AT)みんなのランボルギーニ
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とはいえ威圧感はすごい。テスト車がオレンジ色だったこともあるけれど、わたしが実物をみた白や黒のボディカラーでも、周囲をビビらせ、無意識に威嚇する。

内装もド派手である。テスト車はオレンジとブラックのコンビであり、そこかしこに「URUS」とイタリア国旗、そして「六角形」のデザインが散りばめられている。

ランボルギーニ・ウルス(4WD/8AT)みんなのランボルギーニ
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そもそも特別な車に乗っているのだから、車内でもその特別さを感じられるのを歓迎する向きも大いに違いない。

ミサイル発射スイッチみたいに、赤いハッチを開けてスタートボタンを押すと、ヴァガオ!ブルブル!と先の4リッターV8が目覚める。アレ…Dレンジ…、そうだランボである。右手でパドルを引けばギアが1速に入り、ウルスは堂々たるアティチュードで前進した。

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洗練されたウルスの動き

全長×全幅×全高=5112×2016×1638mmかつ、2200kgもの車体を推進させるのだから、軽やか、ひらひらと表現にはとうていならない。のしのしと巨体がアスファルトを踏みにじるように前に進んでいく。

乗り心地はやわらかい。大径タイヤゆえコツコツと衝撃を伝えるが、サスペンションは比較的大きく屈伸して、うねりや衝撃をゆっくりと吸収していく。フラットだ。

印象的だったのは4WSの逆位相制御だ。積極的に後輪が舵を取ることで、3003mmのホイールベースを感じづらい。擬似的なスポーツカー体験だといっていい。

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当たり前だがパワーも溢れている。2基のターボチャージャーが与えられた4リッターのV8エンジンが生み出す850Nmもの強大なトルクがもりもりと湧き上がってくる。

ただし暴力性はさほど、といったところ。洗練されていると感じる向きも多いだろう。

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昔、ギョーカイの先輩がカウンタックの運転を命ぜられたとき「罰ゲーム」だと思った、という話を聞いたことがある。「なんというか、エンジンそのものに背中をくくりつけられてさ、あとはもう特攻していくイメージだったよ」と。ウラカンでさえ、かなり行儀がいいとはいえ、やっぱり危なっかしい気持ちがつきまとう。

他方ウルスは、洗練された動きの中で、刺激を上手に表現してくれている。

現にそんなウルスを多くの人が評価し、「順番待ち」になっているのだから、実力の証左と言わずになんと言おう。

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ストラーダ(ノーマル)、スポーツ、コルサ(サーキット)、テッラ(グラベル)、ネーヴェ(スノー)、サッビア(デザート)。わたしは前半3モードを試した。コルサ(サーキット)での刺激は、他のどのSUVよりも刺激的だと感じたのだった。

48Vの電動アクチュエーターを用いたアクティブサスペンションという飛び道具をたずさえて、「馬」の方からも背の高い車がデリバリーされようとしている。あっちが出てくると…なんて思ったけれど、この車を買う人達は銘柄指名かな?野暮な考えかもしれない。

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SPEC

ランボルギーニ・ウルス

全長
5112mm
全幅
2016mm
全高
1638mm
ホイールベース
3003mm
トレッド(前)
1700mm
トレッド(後)
1710mm
車重
2200kg
パワートレイン
4リッターV8ツインターボ
トランスミッション
8速AT
エンジン最高出力
650ps/6000rpm
エンジン最大トルク
850Nm/2250-4500rpm
サスペンション(前)
マルチリンク
サスペンション(後)
マルチリンク
タイヤ(前)
285/45 ZR21
タイヤ(後)
315/40 ZR21
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価格
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