- BMW / M440i xドライブ グランクーペ(2021)
日常に密かな色気を
BMW M440i xドライブ・グランクーペには、エンジン、プラクティカリティ、楽しさにステータス性などがバランスよく備わっていることに気付かされる。

4シリーズ・グランクーペ
BMW M440i xドライブ・グランクーペは2021年7月に本邦でデビューした4シリーズの派生モデルである。4シリーズは3シリーズの派生モデルである。
気になるスペックの前に、まずは皆様にこのクルマのサイズ感を把握いただきたい。というのもBMW、モデルが隙間を埋めるように乱立している。4のクーペのしかも4ドアと聞いてもピンとこない方も多いだろう。
4シリーズ・グランクーペ(4ドア・クーペ)の全長×全幅×全高は4785×1850×1450mm、ホイールベースは2855mmとなる。
4シリーズ・クーペ(2ドア・クーペ)と比べると、全長は10mm、全高は55mm大きい。全幅は同じ。ホイールベースは5mm長い。
3シリーズ(4ドア・セダン)と比べると、グランクーペの全長は65mm、全幅は25mm、全高は5mm高い。ホイールベースは同値。
だからグランクーペはずいぶん大きく見える。
M440i xドライブの中身は
BMWのMモデルは2ラインあり、M3やM5などのMハイパフォーマンスと、このクルマのようなMパフォーマンスだ。よりストリートに照準を合わせている。
M440iが搭載するのは、直列6気筒ツインパワーターボと呼ばれるエンジン。ここで注意が必要なのは、このエンジン、ツインターボではない。タービンは1つ。BMWに聞いたところ、「直噴」と「可変」のことを「ツイン」と呼んだのだということだった。
最高出力は374ps/5500-6500rpm、最大トルクは500Nm/1900-5000rpm。パワフルな類だといってもいいだろう。0-100km/h=4.7秒。
これにxドライブと呼ばれる4WDと、Mアダプティブサスペンション、Mディファレンシャルが組み合わされる。
基準車よりM4に近い性格
メーター中央上部にはM440iと記されている。特別な車であることを密かに主張する。
エンジンが目覚めると、野太く濃密な音が室内にも届いてくる。アクセルを踏み込むと、肉厚なトルクがなめらかに湧き出す。
乗り心地は編集部内で意見が分かれた。Mのエンブレムがつくわけだからある程度の覚悟をしていると、うまく入力を丸め込んでいるなと感じるのだが、1台の車として見つめると「硬い」という声があがった。空気圧によっても随分変わるようだ。
ステアリング操作による反応も、M4ほどではないけれど機敏な方だ。ごく一般的なお買い物車としてはかなり鋭敏な反応を示す。
全体感として、基準車とMハイパフォーマンスの間でも、かなり後者にキャラクターを振った車だといえる。
考えてみると随分贅沢な車
M440iの外観変更は、60年代のBMWをオマージュしたキドニーグリルやエアインテークなどをグレーにし、控えめなリアスポイラーをつけた程度に留まるというのだから、いたく控えめなアピールだなと感じる。
一方で中身は、肉厚/濃厚。しかし全体を通してエレガントな仕立て。
クーペボディなのに4枚のドアがあり、後部座席も荷室容量も、よほどの大男か遊牧民ではない限り不満のないサイズと実用性。
考えてみると随分贅沢な車だなという結論に至る。このご時世、このようなサイズの車に6気筒エンジンを載せていることだけでも感謝である。それだけでなく遊ぶ楽しさがあり、プラクティカルで、そしてこの車に乗るとちょっと鼻が高い気分になる。
自分の密やかな愉しみとして、日々のパートナーにする車は意外な所にあった。