アルファ・ロメオ4Cスパイダー(MR/6AT)/アルピーヌA110(MR/7AT)奇跡の2台

アルファ・ロメオ4Cスパイダー(MR/6AT)/アルピーヌA110(MR/7AT)奇跡の2台

アルファ・ロメオ4CとアルピーヌA110の比較試乗。両者は180°真逆の立ち位置であり、個性が突き抜けている。どちらかが良いか、ではなく、そもそも存在に感謝。

アルファ・ロメオ4CとアルピーヌA110

アルファ・ロメオ4CとアルピーヌA110が目の前に並び、どうしたってワクワクしてしまうのは、そのプリミティブな軽量スポーツカーがそれぞれどう違うのか?心の底から知ってみたいという好奇心ゆえだろう。

この取材が実施されるとわかった日(だいたい1か月前にはわかる)から、2台が対峙するのを目の前にする瞬間まで、鼓動が次第に増していき、速くハンドルを握ってみたい気持ちが高まっていった。

アルファ・ロメオ4Cは、2007年に500台が限定生産された「8Cコンペティツィオーネ」以来の2座スポーツカーだ。

華々しいデビューで注目を集めた際、アルファ・ロメオは4Cについて「1930年代の『8C』、40年代の『6C』の伝統を現代に体現した」と説明している。

何より好奇心をくすぐるのは、低密度SMC(ガラス繊維強化樹脂)製ボディと単体重量わずか65kgのカーボンモノコックシャシーがおりなす、乾燥重量950kgという数値と、1.7リッター直4ターボのミッドシップだという点だろう。前後の重量配分は40:60だ。

いっぽうのアルピーヌA110も、見るだけでわくわくしてくる。A610以来となるアルピーヌブランドの市販車。デビューは2017年だった。往年のA110を明確にオマージュしたボディはアルミ製。同じくプラットフォームもアルミ製とし、溶接/リベット/接着を用いて両者を接合。1.8リッター直4ターボのミッドシップだ。なおこのエンジン、ルノー・メガーヌ・ルノー・スポールと同型となる。

2シーター軽量ミッドシップこうも違う

同じ2シーター軽量ミッドシップというくくりでありながら、こうも違うものか!というのが、2台を並べた際の第一印象であった。

具体的にアルファ・ロメオ4Cは、驚くほどグラマラスだ。ドア1つとっても無数の折り返しがあり、リアフェンダーから一気にラインが跳ね上がる。トランクフードのダックテールに至るまでの複雑すぎるほどの面構成は、時間帯による光、自分の位置からの角度によって飽きることがないだろう。

全長3990mm、全幅1870mm、全高1185mm、ホイールベース2380mm。全高に対してかなり幅広であるものの、コンパクトなボディサイズであることが信じられぬ迫力だ。

対する全長4205mm、全幅1800mm、全高1250mm、ホイールベース2420mmのアルピーヌA110は、前から後にかけてスリークな印象。なめらかで小ぎれいでスマートだ。

過去の車へのオマージュにありがちな懐古主義の沼に陥ってはいないように見える。確かに往年のA110の雰囲気は取り入れながら、明確にモダンな解釈を与えている。

不必要に好戦的ではない端正な佇まい。これをセンスがいいと言うのかもしれない。

内装を比べてもやはり両者には明確な違いがある。アルファ・ロメオ4Cで目につくのは、サイドシルからフロア下までむき出しのカーボンの目地。フラットボトムのステアリングとともに、そこは戦いの場。いっぽうのアルピーヌA110は少し高めのシートポジションと相まって、日常の運転の延長線から快適性を担保しながら、スポーツカーを味わうことを目的としているように思える。

実際に走らせてみるとどうだろう?

どちらがいいか?それは決められない

まずはアルファ・ロメオ4Cから試乗した。最初から激情型である。1.7リッター直4ターボエンジン(240ps)が目覚めると、低く吠える。振動は背中、臀部、ステアリングを介して伝わってくる。削り出したペダルを踏み込むと、軽いボディはたちまち加速し、スパスパと6速DCTが変速を進める。

恐怖心が芽生えてくるのは中間加速以上。強烈なターボキック、リリーフバルブ作動時の音、後ろから強烈なパンチを食らわすかのごとき加速。もう恐ろしい。よくもジュリエッタのエンジンをここまでやったなと感心する。

恐ろしくなってアクセルを緩めると尻が浮かぶ。慌ててパワーを与えて車体を水平に保つ。すべての入力に対して正直すぎるほど正直。

カーボン製モノコックに直付けされる前(ダブルウィッシュボーン)、アルミ・サブフレームにつく後(マクファーソンストラット)サスペンションがKW製であることもあり、当たりがマイルドであるのは有り難いが、4Cのキャラクターはまるでカートマシンに乗っているよう。強烈。ダイレクトだ。

このあとアルピーヌA110に乗り換えると、180°真逆のキャラクターにまた驚く。もちろんパッケージングゆえダイレクトなミッドシップスポーツカーらしさがあるのだけど、そこに「余地」のようなものがある。

もう少し解像してゆく。そう、徹頭徹尾ナチュラル。4Cが入力を先回りするかのようにビチビチにタイトな挙動を示すのに対し、入力そのままに、素直な動きを見せてくれるのである。当たりはあくまでやわらかく、バランスの良さが動きに現れる。そしてしなやか。前後ダブルウィッシュボーンのダンパーにはハイドロリック・コンプレッション・ストップが組み合わさる。メガーヌRSゆずりの優秀なパワートレインも正確にピタリとはまる。

4Cに対し、ほどほどのスキル、ほどほどの速度感から十分に楽しめるだろう。

どちらがいいか?

そんなことは決められない。なぜならどちらも正反対で、どちらも優れているからだ。

何より感謝すべくは、素晴らしい2台を、2社がこの時代に産み落としてくれたこと。奇跡だ。そして2社の覚悟だ。2台が現役時代に堪能できることを誇らしく思う。

SPEC

アルファ・ロメオ4Cスパイダー

年式
2016年
全長
3990mm
全幅
1870mm
全高
1190mm
ホイールベース
2380mm
トレッド(前)
1640mm
トレッド(後)
1610mm
車重
1060kg
パワートレイン
1.7リッター直列4気筒ターボ
トランスミッション
6速AT
エンジン最高出力
240ps
エンジン最大トルク
350Nm/4000rpm
サスペンション(前)
ダブルウィッシュボーン
サスペンション(後)
マクファーソンストラット
タイヤ(前)
205/45 R17
タイヤ(後)
235/40 R18

アルピーヌA110ノワール

年式
2020年
全長
4205mm
全幅
1800mm
全高
1250mm
ホイールベース
2420mm
トレッド(前)
1570mm
トレッド(後)
1570mm
車重
1130kg
パワートレイン
1.8リッター直列4気筒ターボ
エンジン最高出力
252ps
エンジン最大トルク
320Nm/2000rpm
サスペンション(前)
ダブルウィッシュボーン
サスペンション(後)
ダブルウィッシュボーン
タイヤ(前)
205/40 ZR18
タイヤ(後)
235/40 ZR18
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