アウディRS6パフォーマンス(4WD/8AT)泣く子も黙る太マッチョ

アウディRS6パフォーマンス(4WD/8AT)泣く子も黙る太マッチョ

アウディRS6パフォーマンスは、現代ではまれに見るパワー勝負の車だと感じる。ライバルも、そして車両重量も、パワーでなかったことにするような。しかしそれらは繊細な制御あってこそだと実感する。

アウディRS6の歩み

アウディRS6アバントを一言でいうならば、A6をベースとした最強パフォーマンス車だ。

初代の登場は今からおよそ20年前(!)の2002年。セダン/アバント(=ステーションワゴン)の2台が用意された。鼻先には4.2リッターV型8気筒ツインターボ(450ps/560Nm)をねじ込んでいた。

2004年に初代が販売した3年後、2008年に2代目RS6アバントが発売。搭載したのはなんと5リッターV型10気筒ツインターボ(580ps/650Nm)。2009年にセダンが加わった。

2013年、3代目RS6が登場。最高出力は560psとわずかに抑えられたものの最大トルクが700Nmまで増強された4リッターV8ツインターボを搭載した。2015年のマイナーチェンジを経て、2016年にこの記事の主役である「RS6アバント・パフォーマンス」が登場。+45psの605ps、+50Nmの750Nm(オーバーブーストモード作動時)を湧出する。100km/hまではわずか3.7秒だ。

その後2019年に4代目アウディRS6へアバントへとバトンを引き継いだ。

アウディRS6の頭脳

大パワーを地面に伝えるために、アウディはRS6に3つの機械的/電子的制御を詰め込んだ。

自慢の4WD「クワトロ」システムは、ロック機能付きセンターデフを中心に、通常時は前後軸40:60、スリップが生じた場合に70:30〜15:85までトルクを分け与える。不要なスリップは許さない事前制御だ。

もう1つの自慢がアウディ・ドライブ・セレクトだ。アクセルペダルの特性曲線、エグゾースト・フラップ、ギアモード、ダンパー調整、ステアリング・トルクを一括制御する。

乗り込んでみようではないか。

パンチでフルボッコ

グレーのボディカラーを纏うRS6パフォーマンスは、写真で見るとおりの迫力だ。横に広い車体が、べたりと低く蹲っている。車高が15mm下がり、幅は60mmも大きくなっているのだから印象が異なるのは自然だ。

カーボンパーツが配置され、フラットボトムステアリングが備わる室内は緊張感がある。テスト車はホワイトのレザーシートが並び、エレガントな雰囲気でもある。

スタートボタンを押すと、ガロロと粒の大きい乾いた音が響く。アクセルを軽く煽ってみると、そのままの音質で音量が増し、直後にバチンバチンとバブリング音が反響した。

走り出すと、かなり下の回転数からモリモリとトルクが湧き出す。1750rpmで700Nmという数字は伊達じゃない。アクセルペダルは1cmも踏んでいないのにRS6は風を切って進んでいく。1人、2人と音量に反応して辺りを見回しているが、まさかこの地味な色の「ワゴン車」の音だとは思いもしないようだ。

コンフォートモードでも乗り心地は硬い部類に入ると思う。車体がガタピシと軋む程ではないけれど頭は上下に細かく揺れる。もっとも超高速域ではこの硬さが正当化されるから良いのだけど…。ダイナミックモードに切り替えると小さくない車体は俄然一体となって猛進する。この時ばかりはサイズも重量も忘れてしまうパンチ力だ。すごい…。

それでいてコーナリングも華麗だ。私にはミリ秒単位のダンパー制御まで感知出来なかったけれど、トルクスプリットの巧みさは確かにドライバーに自信をもたらしてくれた。

他に例が無いモデル

車のネガ=重量を、これほどまでのパワーと技術、そして個性的なキャラクターで霧散させているアウディRS6パフォーマンスは、他に例が無いモデルといって良さそうだ。

このキャラクターをエレガンスさ、快適性に振ったモデルがAMG E63であり、もっと振り回す愉しさに振ったモデルがBMW M5だと私は考えている。

後はあなたがどの部分を重視するか。重いパンチで一撃必殺キャラは癖になる。こんなに地味なカラーと白いレザーで包み込んでしまう粋なチョイスであれば、なおさらだ。

SPEC

アウディRS6アバント・パフォーマンス

年式
2017年
全長
4980mm
全幅
1935mm
全高
1480mm
ホイールベース
2915mm
トレッド(前)
1660mm
トレッド(後)
1670mm
車重
2030kg
パワートレイン
4リッターV型8気筒ターボ
トランスミッション
8速AT
エンジン最高出力
560ps/5700-6700rpm
エンジン最大トルク
700Nm/1750-5500rpm
サスペンション(前)
5リンク
サスペンション(後)
トラペゾイダル
タイヤ(前)
285/30 R21
タイヤ(後)
285/30 R21
メーカー
価格
店舗
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