- アストンマーティン / ヴァンテージロードスター(2023)
もっとも身近なアストンマーティン
オープンカーは、特別な日に乗るためだけのものではない。信号待ちのわずかな時間でも屋根を開けたくなる軽快さと、毎日でも走らせたくなる親しみやすさを備えた一台が、このV8ヴァンテージロードスターだ。アストンマーティンならではの美しさと高揚感を保ちながら、もっとも自然に付き合える存在だ。

「ロードスター」の軽やかさ
この車に乗って、まず驚いたのはオープントップの開閉だった。
驚くほど速い。
いや、それ以上に「気軽」なのである。
信号待ちでも、天気が変わったその瞬間でも、「ちょっと開けてみようかな」と思えるほど手軽だ。
オープンカーは、現代では電動化が当たり前になったとはいえ、屋根を開けるまでに少し気合いが必要な車も少なくない。
しかし、このヴァンテージロードスターにはそれがない。
オープンにすることが特別なイベントではなく、日常の延長線上にある。
だからこそ、この「ロードスター」という名前が実によく似合う。
もちろんアストンマーティンには、ヴォランテという美しいオープンモデルも存在する。
しかし、ロードスターという言葉が持つ軽快さや親密さは、このヴァンテージだからこそ成立しているように思えた。
車との距離感
走り出してさらに印象は強くなる。
DB11やDB12が優雅に距離を重ねるグランドツアラーだとすれば、ヴァンテージはもっとドライバーとの距離が近い。
着座位置、ボディサイズ、ステアリングを切った瞬間の反応──。すべてが自分の身体へ自然に馴染み、車と一体になっている感覚が強い。
決して大袈裟ではない。
しかし確実に、「もっと乗っていたい」と思わせる小気味良さがある。
それでいてアストンマーティンならではの特別感はまったく失われていない。
美しいプロポーション。
厚みのある4リッターV8ツインターボのサウンド。
英国車ならではの品格。
スポーツカーらしい迫力をしっかりと備えながら、不思議なほど扱いやすい。
この「乗りやすさ」は単なるサイズの話ではない。
車との心理的な距離が近いのである。
だから私は、このヴァンテージを「もっとも身近なアストンマーティン」だと思っている。
日常を少しだけ特別に
もちろん、2024年に大幅改良を受けた後期モデルも存在する。
完成度がさらに磨かれていることも理解している。
しかし改めてこの前期モデルへ乗ると、市場価格ほどの差が本当にあるのだろうかと考えてしまう。
車としての本質は、すでにこの時点で十分完成されている。
DB11やDB12が人生を豊かにする旅の相棒だとすれば、このヴァンテージロードスターは、毎日でも乗りたくなるパートナーである。
特別な日にだけ乗るためではない。
少し早起きをした朝。
夕焼けを眺めながら帰る帰路。
そんな何気ない時間を、少しだけ特別に変えてくれる。
アストンマーティンの世界へ最も自然に入り込み、そして最も長く付き合える一台。
それが、このヴァンテージロードスターなのだと思う。

18歳で免許を取ったその日から、好奇心と探究心のおもむくままに車を次々と乗り継いできた。あらゆる立場の車に乗ってきたからこそわかる、その奥深さ。どん...
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