• アストンマーティン / DB12ヴォランテ(2025)

オープンにした瞬間、この車は完成する

DB12は、アストンマーティンが掲げる新時代のグランドツアラー。その魅力を余すことなく味わうなら、選ぶべきはヴォランテかもしれない。ルーフを開ければ、V8サウンドも景色も風も一体となり、移動そのものが特別な時間へ変わっていく。屋根を開けた瞬間、この車の輪郭はより鮮明になる。

アストンマーティン・DB12ヴォランテ(2025)オープンにした瞬間、この車は完成する

"垢抜けた"先に

以前、DB12クーペの試乗記を書いたことがある。

その時もDB11からの進化には驚かされた。

しかし今回、久しぶりにDB12へ乗って最初に感じたのは、性能ではなく「垢抜けた」という印象だった。

もちろんDB11も美しい。しかしDB12には、どこか余裕がある。デザイン、インテリア、操作系、そして走り。そのすべてが洗練され、一段上の世界へ引き上げられたような感覚がある。

アストンマーティン・DB12ヴォランテ(2025)オープンにした瞬間、この車は完成する

以前のアストンマーティンが"憧れの英国車"だったとすれば、DB12は"世界基準のラグジュアリーGT"へ進化した。

そんな印象を受けた。

そして、その変化をもっとも深く味わえるのが、このヴォランテなのだと思う。

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美しい時間を過ごすために

ルーフを開けて走り始める。

するとDB12が持つ空気感そのものが変わる。

視界が広がり、4リッターV8ツインターボのサウンドがより自然に耳へ届く。

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景色も、風も、音も、この車の一部になる。

グランドツアラーとは、本来こういうものだったのではないか。

そう思わせてくれる時間が流れていく。

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実際、ヴォランテはクーペと並行開発され、高いボディ剛性を備えたままオープンモデルとして仕上げられている。その完成度は高く、多くのメディアでも、オープンで走ることこそこの車の本来の姿だと評価されている。

私自身も、その印象に強く共感した。

オープンGTとして、ここまで気持ちよさを感じさせる車は決して多くない。

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速さを競うためではない。

遠くへ行くことだけが目的でもない。

ただ、美しい景色の中を、美しい車で、美しい時間を過ごす。

そのために生まれてきたような一台である。

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現代のグランドツアラーという答え

今回の個体は、ボディカラーにLiquid Crimsonを纏う。

深みのある赤は決して派手ではなく、光の当たり方によって表情を変えながら、DB12の流麗なボディラインをより立体的に映し出す。

華やかさというより、成熟した艶やかさ。

この色だからこそ、DB12という車の存在感が一段と深く感じられる。

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アストンマーティンは近年、大きく変わった。

インフォテインメントは、アストンマーティン初となる自社開発システムへ刷新され、内装の質感も飛躍的に向上した。

しかし最も変わったのは数値ではない。

乗った瞬間に感じる高揚感である。

「もう一度乗りたい」

そう思わせる力が、DB12には確かに宿っている。

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GTとは、距離を走るための車ではない。

移動する時間そのものを豊かにするための車である。

その意味で、このDB12ヴォランテは、現代のグランドツアラーという答えを、もっとも美しく体現した一台なのだと思う。

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Written By
HIROYUKI KONO

18歳で免許を取ったその日から、好奇心と探究心のおもむくままに車を次々と乗り継いできた。あらゆる立場の車に乗ってきたからこそわかる、その奥深さ。どん...

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