- ジャガー / Fタイプクーペ 3.0(2014)
色褪せない華やかさという才能
デビューから10年以上を経ても、Fタイプの存在感は少しも揺らがない。官能的なエグゾーストサウンド、美しく引き締まったフォルム、そして日常にも自然に溶け込む扱いやすさ。速さだけでは語れないスポーツカーの魅力が、この一台には詰まっている。

ジャガーの本気
RESENSEではこれまで数多くのジャガー・Fタイプを取り扱ってきた。
前期型から中期型、そして後期モデルまで。
試乗記としてご紹介した個体もあれば、誌面には登場しなかった個体も少なくない。
だからこそ、この車との付き合いは長い。
改めて振り返ると、2013年のデビューからすでに10年以上の歳月が流れていることに驚かされる。
しかし、それ以上に驚くのは、このデザインがまったく色褪せていないことだ。
もちろん今回の個体が1万km台という極めて良好なコンディションであることも大きい。
それでも、Fタイプという車そのものが持つ造形美は、今なお街中で圧倒的な存在感を放っている。
その理由は、生い立ちにもある。
ジャガーが伝説的なスポーツカー「Eタイプ」の精神を受け継ぐモデルとして送り出したのが、このFタイプである。
美しさと官能性を現代に再解釈したジャガー渾身のスポーツカー。
ポルシェ・ケイマンをはじめとする強力なライバルがいたことからも、この車へかけたジャガーの本気度が伝わってくる。
日常と非日常の絶妙なバランス
改めて乗ると、まず印象的なのは、その華やかさである。
エンジンを始動した瞬間から響くエグゾーストサウンド。
アクセルを踏み込めば、可変バルブ付きアクティブスポーツエグゾーストが実に勇ましい音を奏でる。
同世代のケイマンでは考えられないほど演出されたサウンドであり、その華やぎにはジャガーらしい色気がある。
もちろん、それを「演出過多」と捉える方もいるだろう。
しかし私は、それも含めてこの車の個性だと思っている。
スポーツカーとは、速さだけではない。
運転するたびに気持ちを高揚させてくれることも、大切な価値なのである。
世の中にはもっと刺激的なスーパーカーもある。
もっと速い車もある。
しかし、その多くは日常で付き合うには少し覚悟が必要だ。
一方、このFタイプは違う。
日常でも無理なく付き合え、休日にはしっかりと特別感を味わわせてくれる。
スポーツカーとしての非日常性と、日常へ自然に溶け込む使いやすさ。
その絶妙なバランスこそ、この車最大の魅力ではないだろうか。
美しいスポーツカー
そして今、中古車市場へ目を向けると、このFタイプは500万円を切る価格帯で手に届く存在になってきた。
これほど美しいデザインを持ち、Eタイプの血統を受け継ぎ、官能的なエグゾーストサウンドを楽しめる本格スポーツカー。
それでいて普段使いまでしっかりこなしてくれる。
そんな選択肢は、世界中を見渡しても決して多くはない。
時代を経ても色褪せないデザイン。
乗るたびに心を躍らせるサウンド。
そして毎日の景色まで少し華やかに変えてくれる存在。
Fタイプとは、ジャガーが最後まで大切にしてきた「美しいスポーツカー」という哲学を、もっとも色濃く感じられる一台なのだろう。

18歳で免許を取ったその日から、好奇心と探究心のおもむくままに車を次々と乗り継いできた。あらゆる立場の車に乗ってきたからこそわかる、その奥深さ。どん...
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