- ポルシェ / 911タルガ4(2007)
穏やかな時間が流れる、997タルガという贅沢
PDK以前のティプトロニックSだからこそ生まれる、肩の力が抜けたドライブフィール。広大なガラスルーフがもたらす穏やかな開放感と、911らしい確かな走りが自然に重なり合う。997世代のタルガは、速さだけでは語れない豊かな時間を教えてくれる一台だ。

ティプだからこそ生まれる時間
久しぶりに997前期のタルガへ乗った。
しかもティプトロニックSである。
近年はPDKの完成度が語られることが多く、ティプトロニックは少し過小評価されているようにも感じる。
しかし、このタルガに乗って改めて思った。
この組み合わせだからこそ味わえる時間がある。
変速は決して俊敏ではない。
アクセルを踏み込んでも、一拍置いて穏やかにつながる。
その独特のねっとりとしたドライブフィールが、タルガというキャラクターと驚くほどよく似合うのである。
急がず、競わず、ただ景色を楽しみながら流していく。
そんな時間が、この997タルガにはよく似合う。
性能では測れない心地よさ
そして、このモデル最大の魅力はやはりルーフ機構だろう。
997世代のタルガは、一般的なオープンカーとはまったく異なる存在である。
広大なガラスルーフが電動で後方へ滑り込み、頭上いっぱいに空が広がる。
風を全身で浴びるカブリオレとは違う。
包まれながら、空とつながる。
そんな穏やかな開放感が、このタルガだけの世界観を生み出している。
さらにリアガラス全体がハッチのように大きく開く構造も、この997タルガならではの特徴だ。荷物の積み降ろしもしやすく、実用性まで備えたGTとしての一面も持っている。
もちろん911としての走りは健在である。
リアエンジンならではの独特な重量感。
ステアリングへ伝わる確かな手応え。
PASMがもたらすしなやかな足まわり。
それらをティプトロニックSが少しだけ穏やかに包み込み、この車ならではの落ち着きを生み出している。
速さでは測れない心地よさが、確かに存在する。
知る人ぞ知る贅沢
そして何より、この997タルガというモデルを所有する満足感は特別だ。
街で見かけることはほとんどない。
997を知る人ほど、その希少性を理解している。
クーペでもない。カブリオレでもない。タルガという独自の存在。
だからこそ所有しているだけで、自分だけの911を手に入れたような気持ちになれる。
速さや新しさだけでは得られない満足感が、この車にはある。
穏やかなドライブフィール。
ガラスルーフから降り注ぐ光。
そして、997タルガという希少な一台を所有しているという静かな喜び。
この911は、毎日を少しだけ豊かにしてくれる「知る人ぞ知る贅沢」を教えてくれる存在なのだと思う。

18歳で免許を取ったその日から、好奇心と探究心のおもむくままに車を次々と乗り継いできた。あらゆる立場の車に乗ってきたからこそわかる、その奥深さ。どん...
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