先代ゲレンデとして親しまれてきたW463型Gクラスは、1990年から2018年まで販売されたロングセラーモデルです。
その中でも、初期モデルとして原点に位置づけられるのが、今回ご紹介する300GEです。
軍用車をベースにしながら民間向けへと展開されたW460型は、まだ無骨な性格を色濃く残していました。
それに対しW463型では、乗用車としての性格を強める方向へと舵を切ります。無塗装パーツを減らし、外装はより洗練された印象へ。サイドステップやレザーシートなど、現在のGクラスへとつながる要素がこの時点で取り入れられています。
そもそも、300GEという名称に馴染みのない方も多いかもしれません。
当時のメルセデスは、現在のようなクラス名+数字ではなく、数字とアルファベットを組み合わせた表記を採用していました。
末尾の「E」はインジェクションを意味しており、「I」ではないのはドイツ語(Einspritzung)に由来するものです。
なお、1994年モデル以降はG300という名称へと変更されています。
エンジンは、M103型と呼ばれる3.0リッターの直列6気筒を搭載。
高い耐久性を備えるこのエンジンですが、特筆すべきはその滑らかさにあります。回転の上がり方は非常にスムーズでありながら、どこか機械的な手応えも残しており、操作する楽しさをしっかりと感じさせてくれます。
外装は、クラシカルな意匠を残しながらモダンへと移行していく過渡期ならではの佇まい。
目を惹くボディカラーはマラカイトグリーン。オレンジのウィンカーレンズやナンバー上のフックといった、この時期特有のディテールも見逃せません。
組み合わされる内装はグレーレザー。
オレンジの針を備えたアナログメーターや、しっかりとした操作感のスイッチ類は、このクルマの質実剛健な性格を静かに伝えてきます。
夜間には、柔らかな黄色の光がスイッチ類を照らし、独特の雰囲気を演出。視覚的にも楽しませてくれる空間です。
電動ウィンドウやサンルーフも備わり、当時としては十分に上質な装備内容といえるでしょう。
現在のGクラスへとつながる、その出発点ともいえる一台。
完成度の高さを出発点から備えていたことを、いま改めて体感してみるのも興味深い選択ではないでしょうか。

永井陽向 Hinata Nagai
絵本よりも中古車情報誌を隅々まで読み込んでいた幼い頃。それ以来、ずっとクルマに魅せられてきた。高校生の時に初めたInstagram「hinacars」では6年間で2000台以上の写真と解説を投稿。最新モデルから名車と呼ばれるクラシック、そして誰も気に留めないような隠れた一台まで。日々クルマとの新しい出会いがあり、そのたびに胸が高鳴る。その“ワクワク”を、クルマオタクとしての視点で丁寧に言葉へ落とし込みながら、読者のクルマ人生をより豊かにしていきたいと考えている。









