- メルセデス・ベンツ / G350d
「リノベ」の成功例
(フルモデルチェンジではなく)マイナーチェンジを果たしたメルセデス・ベンツGクラスに試乗。基本的な見た目は大きく変えず、しかし中身はガラリと変わっていた。

変わっていないようで変わった
メルセデス・ベンツGクラス。この世代は2018年に発表された。「世代」といっても、メルセデス・ベンツはあくまで商品改良と表現し、型式も変わらずW463を名乗る。
が、以前のモデルから流用されたパーツはたったの3つ。ドアハンドル、ウインドウウォッシャーのノズル、タイヤカバー。あとはすべてがこのモデルのために見直されている。
細かなところでいうとパネル同士の距離が見直された。たしかにドアパネルとその他のパネルをみると、それぞれの距離が詰まっている。緻密な印象が増しているのはそういった所からだ。
さらに細かいところだが、フロントガラスもごくごく僅かに湾曲。Cd値を意識した。
分かりやすいところはLED化されたヘッドライトやテールライトだろう。前後フェンダーアーチモールも横に大きくせり出した。全幅は1930mmとなる。
内装も大きく変わった。これまでは物理ボタンが多かったが、大幅に減った。シフトセレクターもステアリング右側のレバーに移設。インフォテインメントやメータークラスターもデジタルパネルに置き換わった。一気に実用車から高級車に転じた印象である。
乗り味を決める重要要素も変更
内外装の見た目のみならず、メカニカル面にも大幅な変更が加えられている。
中でもGクラスたらしめるドライビングに直結するステアリング機構がまずボール循環式+油圧アシストからラック・アンド・ピニオン+電動アシストに置き換わった。
もう1つ、これもGクラスらしさとして注目される乗り心地に直結するフロントサスペンション形式が、リジットからダブルウイッシュボーンになった。
オートマティックギアボックスも7速から9速へと多段化されている。
「G350d」が搭載する3リッター直6ディーゼルターボも245ps/3600rpm→286ps/3400-4600rpm、600Nm/1600-2400rpm→600Nm/1200-3200rpmへと変更された。トルク数値こそ変化していないものの、発生回転数が下がっている。
この当たりの乗り味がどう変わっているのかが興味深い。いざ乗り始めよう。
走り始めるとさらに違いを体感
ドアハンドルを握りボタンを押すと、押ししろが浅くなり、感触自体もただ重たいだけではなく精緻になっていることがわかる。
エンジンが目覚める。室内に入ってくる音量は小さくなっている。
短いダッシュボードや細いピラー、目線の高さはそのままGクラスなのに、手で触れる部分は全て新しさと高級感に満ちている。ある種不思議な感覚である。これは乗り味にも共通する。
走り始めるとさらに違いが現れる。まず乗り心地がソフトだ。ふつうのSUVに乗っているかのように当たりがマイルドで、従来型のようなザラつきが無いところに好感を覚える。
ただし決して「乗り心地が良い」とは言い切れないのは、当たりこそマイルドになれど、車体全体で路面を追従するきらいがあり、結果的に目線は常にわずかな上下動を強いられる。
扱いやすいと思えるのは、先述の通りステアリング機構が変更されているからだ。曲がり角の途中でステアリングを切り増したり、切った後のステアリングを戻してやる必要がない。このへんのストレスの無さが、街へと遊びに出たくなるきっかけになると確信する。
「リノベ」によるギャップが粋
Gクラスのスタイルが好きで従来よりも洗練されたものを求めるならばこの世代がうってつけだ。これまでの「ガチッと感」はさらに極まっているし、室内は静か、乗り味もやわらかい。
ちょっと古いマンションの外観はそのままに、内装を「リノベ」したような粋さも感じる。
人気車種であることから比較的リセールバリューが高く、だからこそ「一度は経験してみるべき」と言いやすい車でもある。
一度乗ってみれば、Gクラスとは何か?を最もストレス無く体験できる仕様がこれなのだ。