• プジョー / 205CTIカブリオレ(1992)

小舟のように、人生を軽やかに

205 CTIは、速さや豪華さを競うクルマではない。風を感じ、景色を味わい、肩の力を抜いて走る歓びを教えてくれる一台だ。36,000kmのワンオーナーという希少な個体だからこそ、その豊かな時間をより鮮明に感じられる。

プジョー・205CTIカブリオレ(1992)小舟のように、人生を軽やかに

価格では測れない美しさ

「フィアット・バルケッタ」が小舟なら、この「205CTI」もまた違う意味で小舟のような一台だと思う。

大海原を力強く進む船ではなく、穏やかな川を気持ちよく流れていくような軽やかさ。

この車には、そんな時間の流れ方がよく似合う。

205というモデルは、プジョーの歴史を大きく変えた名車である。

1983年に登場し、当時のプジョーを代表するコンパクトカーとなった205は、その軽快なハンドリングと実用性で世界中から高い評価を受けた。そしてGTIというホットハッチの伝説を生み、その流れを受けて誕生したのが、この205CTIカブリオレである。

プジョー・205CTIカブリオレ(1992)小舟のように、人生を軽やかに

カブリオレ化を担当したのはイタリアの名門カロッツェリア、ピニンファリーナ。

単に屋根を切り落としただけではなく、美しく破綻のないプロポーションを実現した姿は、30年以上が経った今でも十分に新鮮である。

プジョー・205CTIカブリオレ(1992)小舟のように、人生を軽やかに

改めて眺めると、やはりこのデザインは唯一無二だ。

フランス車らしい柔らかな面構成に、イタリアンデザインならではの華やかさが重なる。

決して高価なスーパーカーではない。

しかし、この205CTIには価格では測れない美しさがある。

プジョー・205CTIカブリオレ(1992)小舟のように、人生を軽やかに

「もっと走っていたい」

実際に走り出すと、その魅力はさらに深くなる。

軽いボディに、必要十分な1.9リッターエンジン。そして、それに組み合わされる穏やかな4速AT。

現代のスポーツカーのような刺激はない。

プジョー・205CTIカブリオレ(1992)小舟のように、人生を軽やかに

だからこそ肩の力を抜いて走れる。

風を感じながら景色を楽しみ、季節の匂いを感じながら走る。

そんなドライブの本質を、この車は思い出させてくれる。

プジョー・205CTIカブリオレ(1992)小舟のように、人生を軽やかに

以前なら、少し物足りないエンジンだと感じていたかもしれない。

しかし今乗ると、その乾いたエンジン音すら心地いい。

アクセルを踏み込むたび、「もっと走っていたい」と自然に思わせてくれる。

プジョー・205CTIカブリオレ(1992)小舟のように、人生を軽やかに

ベースは実用車である205。

だからこそ維持へのハードルも高くなく、気負わず付き合える。

それなのに、オープンにした瞬間の高揚感は、何倍もの価格の高級車にも負けない。

心の豊かさは、価格と比例するものではない。

遊び心は、もっと身近なところにも存在する。

205CTIは、そのことを教えてくれる一台だ。

プジョー・205CTIカブリオレ(1992)小舟のように、人生を軽やかに

穏やかな時間を愛する人に

そして今回の個体は1992年式。

30年以上という時間を経ながらも、走行距離は3万km台。

ワンオーナーで、長年一人のオーナーに大切にされてきたことを感じさせる一台。

これほど良好なコンディションで現存する205CTIは、決して多くないだろう。

プジョー・205CTIカブリオレ(1992)小舟のように、人生を軽やかに

この車は、速さを求める人には向かない。

最新装備を求める人にも向かない。

ただ、美しいデザインと穏やかな時間を愛し、オープンカーのある暮らしを楽しみたい人には、これ以上ない相棒になるはずだ。

人生を少しだけ軽やかにしてくれる。

この205CTIには、そんなフランス車ならではの豊かさが宿っている。

プジョー・205CTIカブリオレ(1992)小舟のように、人生を軽やかに
Written By
HIROYUKI KONO

18歳で免許を取ったその日から、好奇心と探究心のおもむくままに車を次々と乗り継いできた。あらゆる立場の車に乗ってきたからこそわかる、その奥深さ。どん...

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