- BMW / 330i ツーリング(2016)
自分の物差しで選ぶということ
実用性と走る楽しさを兼ね備えたBMW・330iツーリング。2016年式ながら走行わずか1.3万kmという個体には、スペックや新しさだけでは測れない魅力がある。数ある選択肢の中から、あえてこの一台を選ぶ。その理由は、他人の評価ではなく、自分自身の物差しの中にある。

一見すると、よく見慣れたF31型の3シリーズツーリング、Mスポーツ。
けれど、この車をただの「よくあるF31」として見てしまうと、その魅力の大半を見落としてしまう。
まず、この車は330iである。
街で見かけるF31の多くとは少し違う、絶妙に希少なグレード。
そして何より、2016年式でありながら走行距離はわずか1.3万km。
希少なグレードであること以上に、この距離の浅さが加わることで、途端に「もう一台探せばいい」とは思えない、一点ものに近い感覚が生まれてくる。
中古車のおもしろさは、こういうところにもあると、僕は思っている。
新車のようにカタログから仕様を選ぶのではなく、年式やグレード、装備、色、そしてそれまで刻まれてきた距離。そのいくつもの条件が偶然重なって、一台の車になる。
この330iには、まさにそんな「この個体を所有する理由」がある。
さらにパノラミックスライディングルーフを開ければ、F31の端正な室内に想像以上の開放感が生まれる。
そして走らせてみると、今だからこそ、このオーソドックスなパッケージングが新鮮に感じられた。
いまや実用車の中心はSUVになり、僕自身もその恩恵を十分に知っている。
それでも、少し腰高なSUVとは明確に違う、低いところに身体を置いて車を動かす感覚。ステーションワゴンとして十分な実用性を持ちながら、ハンドルを切ったとき、アクセルを踏み込んだときに、ちゃんと「BMWを運転している」という気持ちよさが残っている。
大きすぎないサイズもいい。荷物も積める。人も乗せられる。日常で困ることもほとんどない。極めて実用的な車なのに、単なる移動の道具にはなっていない。
所有する喜びと、走らせる喜びが、日常性の中にきちんと残されている。
そこに、この車を嗜好品たらしめる理由があるのだと思う。
もっと新しい車もある。もっと分かりやすく華やかな車もある。同じ予算でSUVを選ぶことだってできる。
それでも、珍しい330iというグレード、そして走行わずか1.3万kmというこの個体に「これがいい」と思える人がいる。
それはきっと、他人からどう見えるかではなく、自分にとって何が気持ちいいのかを知っている人なのだろう。
この車は、そんな自分の物差しを明確に持った人だからこそ選べる一台なのかもしれない。
そんな人の日常に、このF31はさりげなく彩りを添えてくれるように思う。

18歳で免許を取ったその日から、好奇心と探究心のおもむくままに車を次々と乗り継いできた。あらゆる立場の車に乗ってきたからこそわかる、その奥深さ。どん...
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