SUVでありながら、スポーツカーの緊張感を宿すカイエンGTS。そこにカーマインレッドという選択を重ねた一台は、実用の器にポルシェの血統をより濃く浮かび上がらせる。赤を纏うことで際立つ、その芯の強さと粋を確かめた。
ポルシェの血統
SUVというカテゴリーは、いまや当たり前の存在だ。便利で、万能で、どんな場面にも似合う。
だが、その中でカイエンGTS は少し違う。
力強さを誇示するでもなく、過度にラグジュアリーに振るわけでもない。
あくまでポルシェとしての血統を、SUVという器に宿している。
そして今回の個体は、そのGTSに“赤”という選択が重ねられている。
赤という色は、単なるボディカラーではない。意思だ。
芦屋の住宅街で撮影と試乗を兼ね、喫茶店の駐車場に停めたときのこと。
偶然にも、同じ現行型カイエンGTSが3台並んだ。
他のボディカラーは落ち着きがあり、端正で、確かに美しい。
だが赤だけは、空気の密度が違った。
同じモデルでありながら、赤はGTSの本質と強く結びついている。
SUVの力強さに、ファッション性と刺激を与える。それは単なる派手さではなく、“粋”に近い。
スポーツカーの緊張感
走り出せば、その印象はさらに確信へ変わる。
初代カイエンに触れたとき、「これはスポーツカーだ」と感じた記憶がある。
SUVという言葉がまだ曖昧だった時代、ポルシェはすでに答えを出していた。
現行GTSもまた、その系譜にある。
重心は高いはずなのに、コーナーでは身体が自然と前を向く。アクセルに対する反応は素直で、ブレーキも迷いがない。
SUVでありながら、スポーツカーの緊張感を持つ。
それがカイエンGTSというモデルだ。
赤が描き出す本質
黒やグレーが無難とされる時代に、赤を選ぶということは、ほんの少しの自信と、ほんの少しの遊び心を必要とする。
だがその選択は、街の中で確実に意味を持つ。
芦屋の住宅街に並んだカイエンの中で、赤は明らかに“特別”だった。
同じモデルであっても、色によって性格は変わる。GTSは、その変化を受け止められるだけの芯の強さを持っている。
カイエンGTSは、スポーツカーのDNAを抱えたまま、実用性を手放さない。
そして赤という選択が、その本質をより鮮明にする。
旬なクルマを、粋な色で乗る。
その楽しみが、ここにある。

河野浩之 Hiroyuki Kono
18歳で免許を取ったその日から、好奇心と探究心のおもむくままに車を次々と乗り継いできた。あらゆる立場の車に乗ってきたからこそわかる、その奥深さ。どんな車にも、それを選んだ理由があり、「この1台のために頑張れる」と思える瞬間が確かにあった。車を心のサプリメントに──そんな思いを掲げ、RESENSEを創業。性能だけでは語り尽くせない、車という文化や歴史を紐解き、物語として未来へつなげていきたい。




















