- メルセデス・ベンツ / C200 アバンギャルド(2015)
自然体で乗れるメルセデス
ヒヤシンスレッドにベージュの内装、ボンネットの先にはスリーポインテッドスター。華やかな色使いながら、走らせれば驚くほど自然体。いろいろな車を知ったからこそ、その素直な良さが心に残るC200アバンギャルドだ。

柔らかさを感じる仕立て
メルセデスというブランドに、少し距離を置いている車好きは意外と多い。
豪華さだったり、ステータスだったり、あるいは少し押し出しの強いイメージだったり。
私自身もいろいろな車に乗ってきたからこそ、メルセデスというだけで無条件に惹かれるわけではない。
でも、このCクラスは少し違った。
まず目に入るのは、この赤いボディ。
そこにベージュを基調とした人工皮革、アルカンターラ、ファブリックという少し珍しい組み合わせの内装が合わされている。ステアリングも一見黒に見えて、実はブラウン。
ひとつひとつを見るとかなり洒落ているのだけれど、不思議と華美には見えない。
むしろ乗り込んだ瞬間から、少し優しい気持ちになる。
昔ながらのメルセデスが持っていた質実剛健さに、ほんの少し柔らかさを足したような雰囲気だ。
シンプルな足回りだからこそ
走り出してみても、その印象は変わらない。
ハンドリングのレスポンスは素直で、FRらしく前輪が気持ちよく仕事をしてくれる。
最近ではメルセデスやBMWでさえFFベースのモデルが増え、駆動方式そのものを意識する機会も少なくなった。
だからこそ、このCクラスに乗ると「ああ、FRってやっぱりいいな」と改めて思う。
何かを過剰に演出しているわけではない。
速さを誇示するでもなく、スポーティさを必要以上に主張するでもない。
ただ、車として無理をしていない。
その自然体な感じがとても心地いい。
そして今回、個人的にかなり好印象だったのが足まわり。
この個体はエアサスペンションではない、いわゆるバネサス。そこに17インチという無理のないサイズのホイールが組み合わされる。
この組み合わせが実にいい。
C180のAMGラインなどでは、仕様によっては足まわりの硬さが気になることもある。一方で、エアサスには年数を重ねていく上で維持への不安もある。
そう考えると、この車のシンプルな足まわりとタイヤの組み合わせは、W205というCクラスを今から楽しむうえで、とても理にかなっているように思えた。
そしてボンネットの先には、スリーポインテッドスター。
最近では少なくなったこの景色もいい。
ただの装飾ではなく、狭い道では車幅感覚を掴む助けにもなるし、何より運転席から星を眺めながら走ると、「メルセデスに乗っている」という小さな満足感がある。
でも、それを誰かに見せつけるためではない。
自分自身が静かに満たされるためのメルセデス。
この車には、そんな言葉のほうが似合う。
経験を積んだ人だからわかるもの
そして、この個体を語るうえでもうひとつ外せないのが、走行距離の少なさと、それに伴うコンディションの良さだ。
W205も、もはや単純に年式だけで選ぶ車ではなくなってきた。
だからこそ、こういう少し変わった色と仕様を持ちながら、程度のいい一台に出会えること自体に価値があると思う。
この車を、初めて輸入車に乗る人へ勧めたいかと言われると、少し違う気がする。もちろん、癖があるとか、気難しいという意味ではない。
むしろその逆で、いろいろな車に乗ってきた人にこそ、この自然体な良さを味わってほしいと思うからだ。
イタリア車やフランス車のような、ちょっと癖のある車も楽しんできて、「普通にいい車」だけでは少し物足りなくなってしまった人。
そして、そんな人が一周してメルセデスに戻ってくる。
そういう選び方が、この車には似合う。
派手なAMGでもない。
分かりやすい高級仕様でもない。
赤いボディに、少し変わったベージュの内装。ブラウンのステアリング。そしてバネサスに控えめなサイズのホイール。
ひとつひとつに、少しだけエッジが効いている。
だから万人に届く必要はないと思う。
むしろ、この組み合わせを見て「これ、いいな」と思ってしまった人が一人いればいい。
いろいろな車を知ったあとで選ぶ、少し変わったメルセデス。
そんな一台があってもいいと思う。

18歳で免許を取ったその日から、好奇心と探究心のおもむくままに車を次々と乗り継いできた。あらゆる立場の車に乗ってきたからこそわかる、その奥深さ。どん...
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