• ベントレー / コンチネンタルGTC(2013)

“利口”では辿り着けない贅沢

合理性とは真逆の6.0リッターW12ツインターボに、赤幌のオープンボディ。2013年式コンチネンタルGTCには、効率や性能だけでは辿り着けない、“余裕”そのものを味わう贅沢が残されていた。

ベントレー・コンチネンタルGTC(2013)“利口”では辿り着けない贅沢

存在そのものが

爆発的な人気を誇った、2代目コンチネンタルGT。

そのオープンモデルが、今回のコンチネンタルGTCである。

しかも搭載されるのは、V8ではない。

6.0リッターW12ツインターボ。

今の時代背景を考えると、誰もが驚くような成り立ちだ。

ベントレー・コンチネンタルGTC(2013)“利口”では辿り着けない贅沢

ダウンサイジング。環境性能。EV化。

そんな価値観とは、完全に逆行している。

そのうえオープンモデル。

合理性だけで考えれば、存在自体が贅沢そのものだ。

ベントレー・コンチネンタルGTC(2013)“利口”では辿り着けない贅沢

ドイツ車とは別次元の

だが実際に乗り込むと、その意味がよくわかる。

まずエンジンを始動した瞬間に気づいた。

これは、ドイツのラグジュアリーカーとは違う価値観で作られていると。

全てが“余裕”でできている。

ベントレー・コンチネンタルGTC(2013)“利口”では辿り着けない贅沢

インテリアの空気感。分厚く上質なレザー。ウッドパネルの深み。

そしてW12エンジンの始動時に感じる、圧倒的な厚み。

それらすべてが、「急がなくていい」という空気を生み出している。

ベントレー・コンチネンタルGTC(2013)“利口”では辿り着けない贅沢

さらに、そこへオープンという要素が加わる。

屋根を開ける。

ただそれだけなのに、時間の流れ方すら変わる。

ベントレー・コンチネンタルGTC(2013)“利口”では辿り着けない贅沢

3代目にはない儚さ

そして走り出して、さらに興味深いことに気づいた。

3代目コンチネンタルGTで得られた、機械的な完成度の高さが、この2代目には“ない”。

だが、その“不完全さ”こそが、むしろベントレーらしい贅沢へ繋がっていた。

ベントレー・コンチネンタルGTC(2013)“利口”では辿り着けない贅沢

3代目は非常に優秀だ。

乗りやすく、速く、オールラウンダーとしての完成度も高い。

だがどこかドイツ的な、例えばアウディのような精密さに近づいたようにも感じた。

一方でこの2代目には、まだ“儚さ”がある。

少し不器用で、少し大味。

だがその曖昧さの中に、本物の贅沢が宿っている。

ベントレー・コンチネンタルGTC(2013)“利口”では辿り着けない贅沢

特にこのW12モデルは顕著だ。

性能を誇示するというより、巨大なエンジンをただ静かに余裕として使っている感覚。

それが実にベントレーらしい。

ベントレー・コンチネンタルGTC(2013)“利口”では辿り着けない贅沢

コンディションがいいからこそ

もちろん、その儚さと引き換えに、古い車ゆえの不安はある。

故障。経年劣化。そして個体差。

程度の悪い個体に乗ってしまえば、この車の本当の魅力には辿り着けないだろう。

ベントレー・コンチネンタルGTC(2013)“利口”では辿り着けない贅沢

だが今回のこのGTCは違った。

整備記録簿は10枚。素性が非常にしっかりしている。

さらに、オープンモデルで気になる電動幌まわりについても、幌フラップモーター交換済み。

こうした積み重ねが、試乗時に感じた“質感の高さ”へきちんと繋がっているのだと思う。

ベントレー・コンチネンタルGTC(2013)“利口”では辿り着けない贅沢

そして何より、この個体は佇まいがいい。

赤幌。レッドレザー。そして左ハンドル。

華やかなのに、決して嫌味がない。

むしろ、この車の持つ圧倒的な余裕感を、より濃く演出している。

ベントレー・コンチネンタルGTC(2013)“利口”では辿り着けない贅沢

効率化では辿り着けない世界

車にはそれぞれ、モデルごとの良さがある。

そしてさらに言えば、同じモデルでも“どの個体と出会うか”で、印象は大きく変わる。

このGTCは、まさにそういう一台だった。

ベントレー・コンチネンタルGTC(2013)“利口”では辿り着けない贅沢

性能や効率だけでは辿り着けない、贅沢の世界。

それがこのベントレーには、確かに存在していた。

ベントレー・コンチネンタルGTC(2013)“利口”では辿り着けない贅沢
Written By
HIROYUKI KONO

18歳で免許を取ったその日から、好奇心と探究心のおもむくままに車を次々と乗り継いできた。あらゆる立場の車に乗ってきたからこそわかる、その奥深さ。どん...

Learn More