レンジローバースポーツ オートバイオグラフィ ダイナミック(2020)王道のまま、野生を飼う

5.0リッターV8スーパーチャージャーを積むレンジローバースポーツは、過激さに頼らずとも濃密な存在感を放つ。快適性と野性味、そのどちらも高い次元で成立させた一台だ。

5.0リッターV8スーパーチャージャーを積むレンジローバースポーツは、過激さに頼らずとも濃密な存在感を放つ。快適性と野性味、そのどちらも高い次元で成立させた一台だ。

SVRよりも

レンジローバースポーツという名前を持ちながら、このクルマはときにレンジローバー“スーパースポーツ”と呼びたくなるほどの完成度を備えている。

それほどまでに、この5.0リッター スーパーチャージャーのレンジローバースポーツは特別だ。

そして不思議なことに、その特別さは“分かりやすい派手さ”の中にはない。

レンジローバースポーツ オートバイオグラフィ ダイナミック(2020)王道のまま、野生を飼う

このクルマを語るうえで、どうしても比較対象として浮かぶのがSVRという存在だろう。

もちろんSVRは、誰が見ても特別なモデルだ。
あの刺激、あのサウンド、あの過剰さ。

レンジローバースポーツの中でも、ひときわ鮮烈な存在であることは間違いない。

レンジローバースポーツ オートバイオグラフィ ダイナミック(2020)王道のまま、野生を飼う

だが、レンジローバーフリークのひとりとして正直に言えば、SVRには少しだけ“スポーツの脚色が強すぎる”と感じる部分もある。

噛み砕いて言えば、レンジローバーとしての王道感がやや薄いのだ。

安心感、包容力、そして長く付き合っても飽きが来ないこと。
レンジローバーというブランドに本来宿るべき魅力を考えたとき、刺激が少し強すぎる。

もちろんそれも魅力ではある。
だが“相棒”として長く付き合うことを想像すると、見え方は変わってくる。

レンジローバースポーツ オートバイオグラフィ ダイナミック(2020)王道のまま、野生を飼う

その点、この5.0リッターのオートバイオグラフィ ダイナミックは絶妙だ。

SVRほど過激ではない。
だが、野性味は十二分にある。

アクセルを踏み込めば、スーパーチャージャー付きV8ならではの厚みと即応性が一気に立ち上がる。

レンジローバースポーツ オートバイオグラフィ ダイナミック(2020)王道のまま、野生を飼う

荒々しいV8サウンドは、現行のレンジローバースポーツではやや遠くなった印象もある。

今のモデルは洗練され、整っていて、確かに優秀だ。
だがそのぶん、この時代の5.0リッター スーパーチャージャーが持っていた“生き物のような濃さ”は、やや後退しているようにも感じられる。

レンジローバースポーツ オートバイオグラフィ ダイナミック(2020)王道のまま、野生を飼う

このモデルか、それ以外か

そしてこのクルマの魅力は、単に速いことではない。

むしろ印象的なのは、リラックスして乗れることだ。

細かな話をすれば、ベンチレーションシートやシート調整幅の広さといった快適装備の充実も大きい。
だが本質はそこではない。

レンジローバースポーツ オートバイオグラフィ ダイナミック(2020)王道のまま、野生を飼う

このクルマは、ただ刺激的なだけで終わらない。

きちんとくつろげて、きちんと満たされて、
それでいて必要なときにはしっかり牙を見せる。

そのバランスが、実に見事なのだ。

レンジローバースポーツ オートバイオグラフィ ダイナミック(2020)王道のまま、野生を飼う

多くのクルマは、「この世代が好き」「このモデルがいい」という選び方をされる。

だが、ごく稀に“この仕様でなければ意味がない”と思わせるクルマが存在する。

このレンジローバースポーツ5.0リッター スーパーチャージャーは、まさにその稀な一台だ。

レンジローバースポーツ オートバイオグラフィ ダイナミック(2020)王道のまま、野生を飼う

SUVでありながら、ここまで濃密で、ここまで王道で、ここまで長く付き合いたくなるクルマはそう多くない。

刺激だけではない。
快適性だけでもない。
ブランドイメージだけでもない。

そのすべてを、ちょうどいい熱量で成立させている。

レンジローバースポーツ オートバイオグラフィ ダイナミック(2020)王道のまま、野生を飼う

レンジローバースポーツという名前の中に、こうした名車が隠れている。

この5.0リッター スーパーチャージャーは、それを強く思い出させてくれる一台だ。

レンジローバースポーツ オートバイオグラフィ ダイナミック(2020)王道のまま、野生を飼う
  • 河野浩之 Hiroyuki Kono

    18歳で免許を取ったその日から、好奇心と探究心のおもむくままに車を次々と乗り継いできた。あらゆる立場の車に乗ってきたからこそわかる、その奥深さ。どんな車にも、それを選んだ理由があり、「この1台のために頑張れる」と思える瞬間が確かにあった。車を心のサプリメントに──そんな思いを掲げ、RESENSEを創業。性能だけでは語り尽くせない、車という文化や歴史を紐解き、物語として未来へつなげていきたい。

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