- BMW / X3 M40d(2018)
- アルピナ / XD3
調和、そして解像度
ここにBMW X3 M40dと、BMWアルピナXD3がある。共通するパーツが実は多い。だからこそアルピナらしさを探る手がかりになる。価格差の分の違いは?

BMW X3 M40d/BMWアルピナXD3
ここにBMW X3 M40dと、BMWアルピナXD3がある。比較テストをするためだ。
両者が、B57型=3リッター直列6気筒ツインターボ・ディーゼルを搭載することから、BMWとアルピナの味わいの違いがこれまでの比較試乗よりも明白になるだろう。というのがこのテストの動機となった。
X3 M40dが搭載するこのエンジンは、326ps/4400rpmと680Nm/1750-2750rpmを発揮する。一方XD3はM40dの7ps増しの333psと、20Nm増しの700Nmを発揮する。
また独自調査によると、両者が使用するサスペンションも共通。セッティングが異なる。使用するトランスミッションもZFの8HP75と共通のものである。
X3 M40dの新車価格が901万円、XD3が1115万円(2019年/オプション考慮セず)という価格差も、一体どれほどの正当性なのかを見出すにあたり大変興味深かったというわけだ。
エクステリアとインテリアの違い
両者の見た目上の違いは、アルピナの文脈に沿ったデザインくらいのものだと言って良い。
フロントフェイスの基本は共通である。これに「ALPINA」と書かれたリップスポイラーが組み合わされる。ボディサイドに目をやれば、このXD3にはピンストライプが走る。
ホイールはX3 M40dが前:245/40 R21、後:275/35 R21であるのに対し、XD3は255/35 ZR22と285/30 ZR22となっている。
リアもやはりアルピナの文脈か否か、といった具合。XD3は左右2本ずつ計4本出しのマフラーがリアバンパーから顔をのぞかせる。
インテリアを覆う革の面積は基本的に同じに見える。シート形状はXD3の方が贅沢で厚みがあると感じた。メーター回りもXD3はアルピナブルーの液晶に書き換えられている。
ステアリングはX3 M40dの方が太い。これは明確に骨太なスポーツドライビングをアピールする仕掛けにもなっていそうである。
で、実際の走りはどうなのか。価格差を走りが正当化するのかが気になるのである。
X3 M40d 潔い走りのキャラクター
まずはX3 M40dから試乗した。私にとっては二度目であったけれど、やはりもりもりと湧き出す強大なパワー、4WDであることが信じられないくらいにみずから曲がりたがるキャラクターを心から楽しめる。
腰高な車であるにもかかわらず、狙ったところにノーズの先端がキリリと向く。一度姿勢を決めてしまえば残りの動きに迷いはない。目線だけは「SUV」だけれど、感覚はスポーツカーに近い。BMWのSUVが癖になる人の気持がとても良く分かる。
M40dというモデル名が示す通り「Mパフォーマンスモデル」であるためか、乗り心地は硬質だ。これはコーナリングの愉しさのトレードオフだといえそうだ。しかしこれ以上のライドとファンの両立を求めるならば、もっと車格が上の車たちのような機械仕掛けを要する。だからこれはこれで、キャラがはっきりした潔い仕立てだと言えそうである。
調和。全ての動きに無駄やバラつきのない、調和の取れたスポーツSUVの筆頭だ。
XD3 乗りくらべて分かる解像度
アルピナXD3に乗り換えると、数値情報を知っていれば、その増強分は体感できる。
しかしキモはそこではない。X3 M40dの試乗時には見事に調和の取れた車だと感心していたのだが、XD3はそれらをより高解像度で、クリアに感じ取れるから恐れ入る。
まず、走りがスッキリとしている。大きくなったホイールは、似たディメンションのホイールと比較して25%軽くなっている。これが手元に伝わる印象をよりクリアにしている。専用タイヤのマッチングもあるはずだ。
扁平率だけを比較すればXD3の方がもっと硬い乗り心地を予想するけれど、結果、杞憂に終わった。むしろ乗り心地はよく感じる。独自のサスセッティングも効いているのだろう。
調べると、XD3の為に、新規で設計したパーツは無さそうだ。しかしアルピナのエンジニアリングに関わっている人がよく言うのは、「有り物」を使ったとしても、そのバランス取りにかなりのリソースを費やすということ。
全体の「調和」を生み出すためなら、変えなくても良いと判断したものは潔くそのままに。そのうえで、ホイール/タイヤとのマッチングをじっくりコトコト煮詰めていくという。
私は調和という表現を使ったが、一般的には「洗練」という言葉に置き換えることもできよう。感じようとすれば、X3 M40dとの差は歴然たるものである。
際立つ調和 XD3はさらに一歩先
X3 M40d単体で見れば、これはこれで愉しさの点において大満足である。他のどのX3、いやSUVよりも明確なキャラクターだ。
しかし、今回、共有パーツが他のモデルと比較しても多いX3 M40dとXD3を直接対決させることで、両者が極めて調和のとれた車でありながら、先述の通り、アルピナXD3の調和を、より高解像度で捉えることができた。
これが価格差に現れているのだと思う。
しかし中古車において面白いのは、距離やコンディションによって、両者のプライスタグが並列になる点である。あなたはどっちの車を選ぶだろうか?