• アルピナ / XD3 ビターボ アルラット(2016)
  • アルピナ / XD3 アルラット(2019)

受け継がれる魔法、磨かれる魔法

F25型とG01型のBMW X3をベースとしたアルピナモデル「XD3」を直接比較することで、両者の共通点と相違点を探った。進化は確かである一方、色褪せない魅力も。

アルピナXD3新旧比較(2016/2019)受け継がれる魔法、磨かれる魔法

いずれもアルピナXD3

この記事で並べる2台はいずれも「アルピナXD3」。X3をベースに自動車メーカーであるアルピナが手を加えたモデルで「D」が示すとおりディーゼルエンジンを搭載する。

ひとつはF25型XD3ビターボ(レッド)。アルピナ史上初のSUV(BMW的にはSAV)モデルだ。もういっぽうはG01型XD3(グレー)。それぞれ2013年/2018年のデビューとなる。

F25型XD3(2016年)

F25型XD3ビターボ(2016年モデル)が搭載するのはBMW X3 35dが使用する3リッター直列6気筒ターボをベースとする。BMW本体と異なるのは、X3 35dがシングルターボであるのに対し、XD3はツインターボである点。

エンジンブロックと内部パーツは共通であるけれど、ヒート・マネージメント・システムは、高温気候の市場向けに輸出されたX3 35dと同じものを用いる。エアダクトもアルピナのオリジナルパーツとなる。排気系はアクラポビッチと共同開発している。

サスペンションにおいては、バンプストッパーやスタビライザー、スプリングをMスポーツの可変式を基本にアルピナが味付けした。ブレーキに変更はない。ホイールは20インチ。オプションで21インチも用意されていた。

ブレーキシステムはX3 35dから引き継いだ。

G01型XD3(2019年)

G01に代替わりしたXD3は、当時にXD4(クーペSUV)も加わり、注目を集めた。

ちょっとした豆知識。ステアリングの左右によって本国では出力が異なった。左ハンドルはM550dXのエンジンをベースとし、393ps/800Nmを発揮。右ハンドルは540dのエンジンをベースとし、331ps(日本仕様は333ps)/700Nmを発揮した。

サスペンションはX4 M40dのものを基本に、セッティングをアルピナが調整。スプリングは専用品が設えられる。

ホイールは鍛造の22インチ(前:255/35 後:295/30)になり、純正タイヤがピレリPゼロになった。類似サイズのホイール/タイヤに比べると、およそ25%にあたる15kgの軽量化を達成している。

ブレーキシステムはX3 M40dから引き継ぐ。

共通点と異なる点

2台を交互に乗り比べて感じるのは、どの世代であれ、そしてSUVであれ、「アルピナの味」というものが確かにあるということ。

ド級のトルクをヴェールでやわらかく包む。2世代をまたいでも基本的な感触は同じだ。

懸念していたディーゼルのノッキング音も、室内にほとんどと言っていいほど入ってこない。外から聞いていても、エンジン音とエグゾーストノートが殆どイコールである。

回転の伸びも、なめらかというか、もはや艷やかで、音を除けばガソリンエンジンだと間違う人もいるかもしれない。

異なる点は、新型の足さばきの良さだ。特に凹凸を踏み越える際のアシの動きは軽やかで、ステアリングを切った感触も軽快だ。一方で旧型は、ノシノシと歩を進める。

トラディショナルなアルピナと新時代のアルピナの違いはここに現れている。

オンザレール感覚で狙ったラインを完璧にトレースできるのは元々のBMWの素性の良さゆえ。これだけのたっぷりとした室内サイズを担保しながら、ワインディングでも楽しめるのは非常に贅沢なことである。

アルピナの味わいは

いま現在、398万円のプライスタグを掲げる6.9万kmの2016年式XD3と、588万円で10.8万kmの2019年式。

前者はそもそも赤いボディにクリーム色の革内装、スウェード表皮をあわせた勇気あるファーストオーナーに敬意を表したい。

後者は、10.8万kmの走行距離にも関わらず、車のヤレというかくたびれ感を微塵も感じられないことに驚いた。

年式をとるか、距離をとるか、個性をとるか。仮に2台で迷うとしたら、なかなかの究極の、そして面白い選択といえるかもしれない。

いずれの選択でも、アルピナとは何か、SUVにもアルピナの味わいがあるのか、世代によってどう異なるかを、きちんと学び、楽しめることを約束する。