- BMW / M3ツーリング(2025)
ドイツ文化の真骨頂
M3なのにワゴン。かつてはその意外性ばかりに目が向いていた。しかしアウトバーンを走るドイツの景色を知ると、このクルマは決して変わり種ではないと気付く。530PSの性能も積載性も、すべてが必然として成立する一台だった。

M3なのにワゴン
SUV全盛の時代である。
気が付けば、かつて当たり前だったステーションワゴンという存在は随分と少なくなった。
ましてや、そのステーションワゴンにBMW M社が手掛けるM3という特別な名前を与える。
冷静に考えると、とても面白いことである。
M3といえばBMWを代表する高性能モデル。
サーキットでも通用する運動性能を持ちながら、日常性も兼ね備えたスポーツセダンとして長い歴史を積み重ねてきた。
そして現行モデルでは3.0L直列6気筒ツインターボエンジンを搭載。
コンペティション M xDriveでは最高出力530PS、最大トルク650Nmを発生し、0-100km/h加速はわずか3.6秒。
一昔前のスーパーカーすら凌駕する性能を誇る。
合理的な存在
だが、この車の魅力は数字だけではない。
以前の私であれば、「M3なのにワゴン」
という意外性だけでも十分に魅力的だと感じていたと思う。
しかし先日、ドイツでアウトバーンを含む長距離移動を経験し、その考えは少し変わった。
この車は決して変わり種ではない。
むしろ極めて理にかなった存在なのだ。
ドイツという国では車は道具である。
その言葉だけ聞くと、実用一点張りの簡素な車を想像するかもしれない。
だが彼らにとっての道具とはそういう意味ではない。
移動距離が長く、速度域も高く、人も荷物も積み、そして時間を効率よく使う。
そう考えると高性能であることもまた実用性の一部なのだ。
アウトバーンを走るとその価値観がよく分かる。
時速200km前後の巡航域でも車体は安定し、長時間の移動でも疲れない。
必要な時には瞬時に加速し、安全に追い越しを終える。
それは単なる速さではない。
時間を買う性能である。
だからこそドイツではMやAMG、RSといった高性能モデルが特別な存在でありながら日常的に使われている。
全てが必然
そしてM3ツーリングはその思想を最も色濃く体現している一台だと思う。
530PSの圧倒的な性能。
M xDriveによる高い安定性。
そしてステーションワゴンならではの積載能力。
人も。荷物も。速度も。快適性も。
何ひとつ妥協しない。
それでいてタンザナイトブルーのボディはどこか知的で上品だ。
シルバーストーンレザーとの組み合わせも実に美しい。
派手なスーパーカーのように注目を集めるわけではない。
だが、車を知る人が見れば一瞬でその特別さが伝わる。
改めて思う。
M3ツーリングはワゴンのM3ではない。
ドイツという国の文化。ドイツ人の合理性。そしてBMW M社の技術力。
その全てが結晶化したような一台なのだ。
アウトバーンを経験した今だからこそ分かる。
この車には確かな必然性がある。
そしてその必然性こそが、M3ツーリング最大の魅力なのである。

18歳で免許を取ったその日から、好奇心と探究心のおもむくままに車を次々と乗り継いできた。あらゆる立場の車に乗ってきたからこそわかる、その奥深さ。どん...
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