- レクサス / LS500h(2025)
8年かけて完成した、日本のフラッグシップ
フラッグシップは、登場した瞬間に完成するとは限らない。現行LSは8年近くにわたる改良を重ね、その本来の姿へと近づいてきた。静かで、上質で、どこまでも自然。今のLSには、日本の高級車が目指してきた答えがある。

先代の完成度の高さゆえに
現行LSがデビューしたのは2017年。
レクサスの頂点として、そして日本を代表するフラッグシップセダンとして登場したモデルだった。
先代LSの完成度は、正直とてつもなく高かった。
セルシオから脈々と続く、“静かで滑らかな日本の高級車”という価値観。
その集大成のような存在だったからこそ、現行LSへの期待値は非常に大きかった。
だが当時の評価は、決して手放しで絶賛されるものではなかった。
実際に乗ると、足まわりのしなやかさも少し足りない。
車としての一体感も、どこか希薄に感じる部分があった。
もちろんデザインや先進性は素晴らしかった。
だが“乗り味”という部分においては、前モデルの完成度が高すぎたゆえに、余計に厳しく見られていたのも事実だと思う。
販売面でも先代ほどの勢いを見せることはなかった。
もっとも、ビッグセダンというジャンル自体が、時代の中心ではなくなったことも大きい。
だがレクサスは、このLSを諦めなかった。
磨かれたLS
欧州車では、前期・後期、そして年次改良によって、車がどんどん熟成されていくことは珍しくない。
一方で日本車は、そこまで大幅に乗り味へ手を加え続けることは意外と少ない。
だがLSは、その後も改良の手を止めなかった。
静粛性。足まわり。制御。細かなNVH対策。
まるで執念のように、年次改良を積み重ねていった。
そして今回の個体。
2025年式。つまりデビューから8年近くを経て、徹底的に熟成されたLSである。
正直、驚いた。
乗り味の“調和”が、まるで別物になっていた。
柔らかい。だが緩くない。
静か。だが退屈ではない。
すべてが自然で、すべてが滑らかに繋がっている。
特に印象的なのは、足まわりの質感だ。
以前感じていた、どこかチグハグな感覚がない。
路面入力を柔らかく受け止めながら、ボディ全体が一つの塊として動いていく。
それはまさに、フラッグシップセダンの乗り味だった。
しかもこのLSは、単なる快適性だけで終わらない。
ドライバーズカーとしての感覚も、しっかりと持っている。
だからこそ、“調和”という言葉がしっくりくる。
日本人だからこそ味わえる贅沢
日本市場では、乗り味というものは意外と評価軸になりにくい。
装備。燃費。ブランド。リセール。
そうした部分が先行しがちだ。
だがこのLSに乗ると、改めて思う。
レクサスとは、そしてトヨタとは、やはり偉大なメーカーなのだと。
日本の道路。日本の速度域。日本人が感じる快適性。
そこへ真剣に向き合い続けた結果が、この熟成されたLSには詰まっている。
そして今、次期モデルや終売の噂も囁かれている。
だからこそ思う。
ここまで煮詰められたLSを所有することは、ある意味、日本人だからこそ味わえる贅沢なのかもしれない。
静かで、上品で、どこまでも自然。
そんな日本の高級車文化の到達点を、このLSは今なお体現している。

18歳で免許を取ったその日から、好奇心と探究心のおもむくままに車を次々と乗り継いできた。あらゆる立場の車に乗ってきたからこそわかる、その奥深さ。どん...
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