- 日産 / ジューク(2014)
時代が追いついた
このジュークというクルマは、登場から十数年が経った今でも存在感を放ち続ける一台だと思います。 なぜなら、そのデザインが常に賛否を巻き起こし、クルマ好きの間で語られ続けているからです。

奇抜さが話題になるのではなく、当時のSUVの文法を大きく外れた意図あるデザインだったことが、今になっても注目される理由だと感じます。
現在は2代目が欧州で販売されていますが、日本では初代のみの展開。そのため国内では古さを感じにくく、後継とされるキックスとも似ていないことから、初代ジュークはますます唯一無二の存在として輝きを増しています。
車名の由来はジュークボックスではなく、アメフトでディフェンスを軽快にかわす“juke”という動き。
その俊敏さを造形に落とし込むため、日産は当時としては大胆なクーペとSUVの融合というコンセプトを採用しました。
高い腰位置、絞り込まれたキャビン、張り出したフェンダー、低く構えたフロントマスクーーこれらはすべて、SUVの力強さとクーペの躍動感を同時に表現するための策と言えます。
特に象徴的なのが、三段構成のフロントフェイス。
上段のスリムなポジションランプ、中段のウインカー、そして下段の大きな丸型ヘッドライト。
この丸型ライトは、ラリーカーのフォグランプがモチーフで、SUVのタフさとスポーツカーの遊び心を同時に表現しています。
この後期型ではライト類の意匠が洗練され、ドアミラーウインカーの採用など細部の質感向上によって、奇抜さよりも完成度が前に出るデザインへと進化しました。
サイドビューにはZ34型フェアレディZを思わせるラインが散りばめられています。逆S字を描くウインドウグラフィック、ルーフ後端の絞り込み、リアフェンダーの張り出しなど。
これらは単なる流用ではなく、日産スポーツのDNAをSUVに移植するという試みとも言えます。
リアドアノブをCピラーに隠す処理も、視覚的に2ドアクーペのように見せるためのトリックで、ジュークのキャラクターである俊敏さやスポーティな一面を視覚的に補強しています。
今でこそクーペSUVは一般的ですが、ジュークはその潮流よりも少し早く登場しています。
当時は理解されにくかった部分も、今振り返るとむしろ時代が追いついたと思えるほどです。
この個体は走行距離わずか4000kmという希少な条件で、10年以上経過した車としては内装のスレやシートの痛みが少ないのも納得です。
デザインの価値とコンディションの価値が同時に揃った一台で、改めて見直すとその魅力が浮かび上がってきます。
ジュークは単なる奇抜なSUVではなく、日産が本気で未来を考えた意欲作だったことがよく分かる、そんな存在です。

絵本よりも中古車情報誌を隅々まで読み込んでいた幼い頃。それ以来、ずっとクルマに魅せられてきた。高校生の時に初めたInstagram「hinacars」では6年間で200...
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