映像作品「スーパースポーツ:フルセンド」舞台裏を公開 ベントレーのプロジェクト

トラヴィス・パストラーナがドライバーとして本プロジェクトへの参加を快諾し、撮影は2025年9月26~28日までの3日間にわたって行われた。ここではその舞台裏をご紹介。

映像作品「スーパースポーツ:フルセンド」舞台裏を公開 ベントレーのプロジェクト

英国発

ベントレーは、同社史上もっともダイナミックな映像作品『スーパースポーツ:フルセンド』のメイキング映像を公開。

トラヴィス・パストラーナをフィーチャーした本作は、ベントレーにとっても前例のない、野心的かつ画期的なプロジェクトとして制作された。

今回公開されたメイキング映像では、ベントレーで3日間にわたって行われた撮影の裏側を紹介しており、100名を超えるスタッフが参加し、さらにベントレーのキャンパス全体を完全閉鎖して撮影を行ったのは、今回が初めてだ。

映像作品「スーパースポーツ:フルセンド」舞台裏を公開 ベントレーのプロジェクト

『スーパースポーツ:フルセンド』の企画は、昨年4月に始まり、新型スーパースポーツの登場は、ベントレーにとってまったく新しいタイプの映像制作に挑む絶好の機会となった。

この映像は、社内で「ピムカーナ」というコードネームで呼ばれており、これは、工場所在地であるピムズ・レーンと、ジムカーナを掛け合わせたネーミングだ。

企画は、ベントレー社内の主要部門との協議から始まり、検討と準備を重ねたのち、取締役会の承認を経て、R&D部門ではスーパースポーツの開発車両を今回の撮影に向けた特別仕様へと仕立て上げる作業が進められた。

電子制御式リミテッド・スリップ・ディファレンシャル(eLSD)は、より早い段階でロックがかかるよう調整され、エレクトロニック・スタビリティ・コントロール(ESC)は恒久的に無効化。

さらに、静止状態および走行中のバーンアウトを可能にするための専用ソフトウェア変更も施されており、成功の鍵となったのは、8速デュアルクラッチ・ギアボックスの制御システムと統合された、機能する油圧式ハンドブレーキの設計および搭載だ。

これにより、工場内の道路網にあるタイトコーナーへ、パワーオーバーステアに頼るのではなく、車両をスライドさせた状態でコーナーへ進入させることが可能になった。

映像作品「スーパースポーツ:フルセンド」舞台裏を公開 ベントレーのプロジェクト

この車両の準備作業は、ベントレーのエンジニアリング・マネージャーであるアリステア・コーナーが監修した。

メインカーは、現在ベントレーのヘリテージ・コレクションに加えられおり、撮影中に万が一メインカーが損傷した場合に備え、バックアップ用として2台目の車両も用意された。

両車両には、グラフィックアーティストDeathsprayによる、ジムカーナに着想を得た特別なラッピングが施され、22インチホイールも専用にペイントされている。

さらに主役車両の車体下には、映像終盤で印象的な火花を生み出すため、チタン製のスキッドブロックが2基装着された。

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実際に稼働している工場での撮影である以上、考慮すべきリスクは多岐にわたった。

ガス本管や光ファイバーケーブル、水道管、さらには工場全体の電力供給設備に至るまで、あらゆるインフラに細心の注意を払う必要があり、こうした設備の一部は、ダイナミックな撮影が行われた場所のすぐ近くに位置していた。

また、パイクスピーク仕様のベントレー車両との駐車場でのチェイスシーンや、ブルックランズでのバーンアウトシーンでは、より綿密な調整が求められ、トラヴィスに加えて2名のプレシジョンドライバーも参加した。

映像作品「スーパースポーツ:フルセンド」舞台裏を公開 ベントレーのプロジェクト

実際の撮影には、制作チームに加え、ベントレー社内の各部門からのサポートチームも参加し、総勢100名を超えるスタッフがこのプロジェクトを支えた。

主要な撮影クルーはおよそ25名で構成され、メインカメラオペレーター2名、ドローンオペレーター2名、ミニカム技術者2名に加え、初代ベンテイガW12をベースに製作された専用トラッキングカーを運用する3名のクルーが含まれ、このトラッキングカーには、U-Craneアームが装備されていた。

さらに支援チームとして、工場内の各ロケーションの安全確保と封鎖を担う10名のロケーション・マーシャル、25名の車両スペシャリスト(2チーム編成)をはじめ、工場サポートチーム、医療班、消防班、車両ハンドラー、ヘリテージカーのドライバー、安全衛生ユニットが参加。

こうした体制のもと、撮影は大きな問題もなく進行し、3日間にわたる撮影と、ジョン・リチャーズのディレクションによる3か月間の編集作業を経て、完成した映像は1月に公開。

映像内には、注意深く見ることで見つけられる12個の“イースターエッグ”が隠されており、さまざまな車両やディテールが散りばめられている。

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映像内に隠された12のイースターエッグ

1.トラヴィス・パストラーナが工場に入館する際、IDバッジに記されたベントレーの社員番号は、彼のレースナンバーと同じ「199」
2.1999年のコンセプトカー「Hunaudieres(ユノディエール)」が、「ガレージ」シーンに登場
3.2003年のル・マン優勝車「Speed 8」も、同じくガレージ内に登場
4.新型コンチネンタルGTSも、エンバーゴ前にもかかわらず映像内に含まれている
5.スーパースポーツ・プロジェクトのコードネームである「Mildred(ミルドレッド)」が、油圧式ハンドブレーキに印字
6.新しいベントレーのBEV(バッテリー式電気自動車)が2回登場。1回目はカモフラージュを施した状態で駐車場に、2回目はトラヴィスがドアを破壊した後、シルクのカバーの下に姿を見せる
7.ベントレー所有の1953年式 Rタイプ・コンチネンタル(コンチネンタルGTのデザインランゲージと名称の原点となったモデル)が、戦前のベントレー車両によるフライバイの後、トラヴィスが左折する場所にあるガラスボックス内に展示
8.2025 EXP 15 デザインビジョンカーが、映像内の長い直線区間を見下ろす屋上に登場
9.スーパースポーツのフロントグリルに装着されたレースナンバー「199」には、2つの「9」の間に黒い「1」が入っており、ベントレー創業年である「1919」を表す
10.映像の最後にトラヴィスが停車する3台の車両には、1926年のオリジナル・スーパースポーツに加え、その両側に直近2世代のモデルが並ぶ
11.ラストの空撮シーンに登場するカラフルな車両のラインナップは、そのボディカラーがペイントショップ側面の塗装パネルの色味を反映
12.エンドクレジット中に、トラヴィスが残した痕跡を片付けている人物は、ベントレー会長兼CEOのフランク=シュテファン・ヴァリザー

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エンジニアリング・マネージャーのコメント

「私たちのピムカーナカーに課せられたミッションは、すでに高い能力を備えるスーパースポーツを“11”まで引き上げることでした。

つまり、市販仕様に必要なあらゆる安全機能を取り除き、工場内の狭い道路を自在に舞うことができる機能を追加することです。

この車両を開発したエンジニアたちのチームは本当に素晴らしく、走りながら学び、創造的な解決策を次々と生み出して、この車をモンスターへと変貌させました。

そして何より重要なのは、この特別な車がいま実現していることは、スーパースポーツが本来備えている能力の延長線上にあるということです。

ピムカーナカーは、限界を取り払ったスーパースポーツであり、当社のシャシーとパワートレインが極限まで引き出されたときに何ができるかを示す存在なのです」

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プロダクト・コミュニケーションズ責任者エグゼクティブ・プロデューサーのコメント

「撮影日は非常に濃密なものでしたが、私たちがこれまでに経験した中でもっとも楽しい時間となりました。

天候にも恵まれ、主役車両、脇を固めた車両たち、そして関わったすべてのチームが、卓越したパフォーマンスを発揮してくれました。

限界を超えるドライビングや、120mphを超えるスピードが伴うにもかかわらず、人にも車両にも生じた唯一の損傷は、壊れたウイングミラー1枚だけでした!

この唯一無二のプロジェクトを実現するために懸命に取り組んでくれた、すべてのベントレーの仲間たちに感謝しています」

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