淡くも強い意思を宿すDuck Egg Blue。シリーズIIで磨き込まれた滑らかさに、ブラックバッジの芯を重ねたカリナンは、贅沢を受け身で味わう存在ではない。自ら操り、その質感を確かめるためのロールスである。
INDEX
意思と思想を感じさせるもの
最初に惹きつけられたのは、造形でも存在感でもなく、色だった。
淡く、しかし確かな意思を感じさせるDuck Egg Blue。
写真では伝わりきらないこの色は、実車を前にして初めて「なるほど」と腑に落ちる。
ロールス・ロイスにおいて色は装飾ではなく、選択そのものが思想になる。
だからこそ、この色をオーダーするには勇気が要る。だが同時に、その勇気がそのまま“価値”として立ち上がってくるのも事実だ。
シリーズIIがもたらした洗練
走り出してすぐに感じたのは、シリーズIIで明らかに進んだ洗練だった。
これまでのカリナンに感じていた、わずかな“モッタリ感”。それが、この個体ではほとんど意識に浮かんでこない。
滑らかで、しなやかで、どこまでも角が取れている。ブラックバッジという性格も相まって、動き出しの一瞬からクルマとの距離が近い。
速さを主張するわけではない。それでも、アクセルに対する反応、ステアリングを切ったときの一体感は、確実に「運転している」という実感を伴って伝わってくる。
“魔法の絨毯”はそのままに、その下にもう一層、ドライバーとの対話が敷かれた。
そんな印象だ。
ドライバーズカーとしてのカリナン
この個体が面白いのは、右ハンドルという選択と、あえて備えられたサンルーフの存在だ。
ショーファードリブンの世界観を強く押し出すこともできたはずだが、この仕様は明らかに“ドライバー側”に寄っている。
視界は明るく、操作は自然。
大柄なボディであることを忘れさせるほど、取り回しにストレスがない。
ただ快適なのではなく、「乗りこなせている」と感じられる贅沢がある。
内装に広がるダークトーンの世界は、華美ではなく、静かに緊張感を漂わせる。
ブラックバッジは派手さのための仕様ではない。むしろ、自分の感性を内に秘めたまま楽しむためのロールスだと、このクルマは教えてくれる。
音は遠く、振動は丸く、それでいて路面の情報は不思議なほど自然に伝わってくる。
Duck Egg Blueが意味するもの
改めて触れておきたいのが、この色だ。
Duck Egg Blueは、理屈で選ぶ色ではない。
だからこそ、新車オーダーでは躊躇する人も多いだろう。
だが、こうして実物を前にし、「この色が似合う世界観」を体感できることの価値は計り知れない。
この一台には、感性で選ぶ楽しさと選んだ後の納得感、その両方が詰まっている。
このブラックバッジ カリナンは、スペックや価格で語るための一台ではない。
シリーズIIで磨き上げられた走りの質感。ブラックバッジによって与えられた芯のある性格。そしてDuck Egg Blueという、強い意思を宿した色。
この個体との出会いは、RESENSEを通じて提供できるからこそ嬉しい。
そして、この一台がどんなお客様と出会い、どんな日常の一部になっていくのか。
その物語の始まりに立ち会えることを、心から楽しみにしている。

河野浩之 Hiroyuki Kono
18歳で免許を取ったその日から、好奇心と探究心のおもむくままに車を次々と乗り継いできた。あらゆる立場の車に乗ってきたからこそわかる、その奥深さ。どんな車にも、それを選んだ理由があり、「この1台のために頑張れる」と思える瞬間が確かにあった。車を心のサプリメントに──そんな思いを掲げ、RESENSEを創業。性能だけでは語り尽くせない、車という文化や歴史を紐解き、物語として未来へつなげていきたい。















