- ランドローバー / ディフェンダー110 Xダイナミック HSE(2024)
道具として完成されたラグジュアリー
かつては無骨な実用車として世界中の過酷な環境を走り続けてきたディフェンダー。その本質を受け継ぎながら、現代のラグジュアリーSUVとして新たな完成形へと進化した。道具としての信頼性と、日常を豊かにする快適性を兼ね備えた一台だ。

本質は残したまま現代的に
現行ディフェンダーがデビューした当初、多くのランドローバーファンは賛否を口にした。
「あの無骨なディフェンダーではない」
そんな声も少なくなかった。
しかし私は、何台もこのモデルに触れ、乗り、扱ってきた今だからこそ思う。
この車は、ディフェンダーという名前を最も現代的に解釈した一台なのだと。
初代ディフェンダーは、生粋の道具だった。
過酷な環境で働くために生まれ、快適性はあくまで二の次だった。
多少の不便さすら、その魅力の一部だった。
一方、この現行ディフェンダーは違う。
オフロード性能を高い次元で維持しながら、高級SUVとしての日常的な快適さまで手に入れてしまった。
そこが、この車のすごさなのである。
ブランドが積み重ねた信頼感
今回の個体は、3リッター直列6気筒ディーゼルターボ「D300」を搭載する110 Xダイナミック HSE。
マイルドハイブリッドシステムを組み合わせたこのパワートレインは、低回転から分厚いトルクを発生し、大柄なボディを軽々と前へ押し出していく。
ディーゼルらしい力強さは残しながらも、驚くほど静かで滑らか。ランドローバーらしい余裕のある走りを存分に味わうことができる。
そして改めて感じるのが、この車の安心感だ。
高いアイポイント。見切りの良いスクエアなボディ。
どんな天候でも、どんな道でも、「大丈夫だ」と思わせてくれる絶対的な信頼感。
これはスペックでは語れない、ランドローバーが長年積み重ねてきたブランドの財産なのだと思う。
面白いのは、この安心感が決して退屈さにつながらないことだ。
街中をゆったり流しても気持ちがいい。高速道路ではどこまでも安定している。
そして未舗装路へ入れば、本来のディフェンダーとしての本領を何事もなかったかのように発揮する。
人を自由にする道具として
「どこへでも行ける」
その一言が、これほど似合うSUVはそう多くない。
近年はラグジュアリーSUVというカテゴリーが成熟し、多くの選択肢が生まれた。
しかし、その多くは高級車としての魅力が先に立つ。
一方、ディフェンダーは今なお道具という本質を失っていない。
だからこそ、この車には飾らない格好良さがある。
どこへ行くかではなく、「行ける」という信頼感。
その余裕が、日常そのものを豊かにしてくれる。
豪華だから満たされるのではない。
信頼できる道具を持つことで、人はもっと自由になる。
現代のディフェンダーは、そのことを教えてくれる。

18歳で免許を取ったその日から、好奇心と探究心のおもむくままに車を次々と乗り継いできた。あらゆる立場の車に乗ってきたからこそわかる、その奥深さ。どん...
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