- テスラ / モデル3(2025)
偏見が崩れる瞬間
テスラに対して少なからず偏見があった。しかし実際にハンドルを握ると、その印象は大きく変わる。電気自動車ならではの走りだけでなく、クルマとの付き合い方そのものを見直した思想。モデル3は、未来の乗り物ではなく、すでに日常へ溶け込んだ新しいスタンダードだった。

偏見か、期待か
最初は偏見が無かったと言えば嘘になる。
充電環境、航続距離、そして新興メーカーとしてのテスラ。
それは一時的なブームなのか、それとも自動車の新しいスタンダードになるのか。
テスラが日本に上陸してから約12年。
街中で見かける機会は確実に増え、実際に所有する声も身近になった。
当初抱いていた不安は、台数の増加とともに薄れていく。
そして今回、ついに自分でハンドルを握ることにした。
不思議な感覚
少し遅いかもしれないが、自分で運転するテスラは今回が初めて。
当たり前だが、そこにエンジンはない。
起動という言葉がしっくりくる静けさで目覚め、そのままスッと走り出す。
電気自動車の力強さは以前にも体験したことがあるが、この現行型モデル3はどんな走り出しを見せるのか。
これまで乗ってきたどんなクルマよりも慎重にアクセルを踏み込んだ。
しかし、その慎重さはすぐに不要だと気づく。
理由は回生ブレーキだ。
アクセルを離すと惰性なく減速し、止まるほどに強く効く。
まるでスイッチのオンオフのような感覚。
現行モデルではワンペダルドライブを前提とした制御となっており、慣れるとブレーキペダルを使う場面は大きく減る。
年式やグレードで多少の違いはあるが、この感覚は大きな魅力だ。
ブラッシュアップされた“当たり前”
このクルマに触れて感じたのは、これまで当たり前だと思っていたクルマの常識が見直されているということ。
象徴的なのは、クルマとの接し方そのものだ。
従来は鍵を取り出し、ドアを開け、エンジンを始動するという一連の動作が存在した。
しかしこのクルマでは、登録済みのスマートフォンを持って近づけば乗り込み、そのまま走り出せる。
今では他メーカーにも広がっている考え方だが、テスラは早い段階からこうしたデジタル中心の体験を構築してきた。
さらに驚くのはシフト操作だ。
一般的なシフトレバーは存在せず、タッチスクリーン上で前進や後退を選択する。
最初は戸惑う。しかし数回操作すると、レバーを動かすという行為そのものが必須ではなかったことに気づく。
エアコン、ミラー、走行設定なども含め、多くの操作が一枚のスクリーンへ集約されている。
物理スイッチを減らしたインテリアは好みが分かれる部分かもしれない。
それでも、クルマをスマートフォンやタブレットのような感覚で扱うという思想には一貫性がある。
便利な装備を追加したというより、クルマとの付き合い方を一度ゼロから考え直したような印象だった。
スクリーンが教えてくれる
乗り込むと、センターコンソールには大きなタッチスクリーンが鎮座する。
テスラでは、これは単なる装備ではなく“運転の中心”だ。
スピード、航続距離、設定のすべてがタッチスクリーンに集約されている。
驚いたのは、オートパイロットのセンサー情報を可視化する表示。
周囲の車両や歩行者、自転車、散歩中の犬までもリアルタイムで表示している
駐車時には周辺状況を視覚的に表示し、距離感も把握しやすい。ウィンカーを点ければカメラ映像が表示されるなど、補助機能も充実している。
日常に溶け込む
電気自動車ならではの俊敏な反応と加速はやはり素晴らしい。
合流や発進でスッと流れに乗れる。
20〜40km/hの加速でも、踏んだ瞬間にパワーが立ち上がる感覚がある。
トランクは前後にあり、フロントの“フランク”も含めて日常使いには十分な容量。
リアシートも大人・子ども問わず快適に使える広さだ。
ガソリン車の楽しさとは異なる魅力を持つ一台。乗ってみて、その偏見は確かな好感へと変わっていった。
クルマ好きでも、普段乗りとして欲しくなるそんな魅力を持っていた。

絵本よりも中古車情報誌を隅々まで読み込んでいた幼い頃。それ以来、ずっとクルマに魅せられてきた。高校生の時に初めたInstagram「hinacars」では6年間で200...
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