- トヨタ / シエンタ(2015)
「ちょうどいい」を極めた傑作
コンパクトなボディに7人乗りの実用性を詰め込み、誰にとっても使いやすい一台へと仕上げられた2代目シエンタ。象徴的なエアーイエローと走行500kmという希少なコンディションが、その魅力をいっそう際立たせている。

こんなにもボディーサイズに対して、完成度の高いパッケージを持った車が他にあるだろうか。
今回改めて触れた2代目シエンタは、そんなことを真剣に考えさせてくれる一台だった。
まず驚くのは、このコンパクトなボディーサイズで3列シートを実現していることだ。
もちろん知識としては知っていた。
だが実際に車に触れ、シートアレンジを確認すると驚かされる。
特に感心したのが3列目シートの収納方法。
一般的なミニバンのように跳ね上げるのではなく、2列目シートの下へ格納される。
これが実によくできている。
収納時に左右の視界を妨げることもなく、荷室空間もすっきりと使える。
そして3列目を格納した状態のラゲッジスペースは、このサイズからは想像できないほど広い。
普段は荷室として使いながら、必要な時だけ7人乗りへ。
その柔軟さは、まさに日本の生活環境を熟知したトヨタらしい発想だ。
さらに乗り込むと、アイポイントの高さにも感心する。
高すぎない。低すぎない。
見晴らしが良く、狭い道でも扱いやすい。
乗り降りもしやすい。
全てが絶妙なのだ。
思い返せば、タクシーや福祉車両などのベース車両として採用される理由もよく分かる。
室内空間は快適で、誰が乗ってもストレスが少ない。
派手さはない。
だが、日常で使う道具としての完成度は非常に高い。
そして今回の個体を語る上で外せないのが、この「エアーイエロー」だろう。
2代目シエンタを象徴するボディカラー。
当時、この色は単なる新色ではなかった。
シエンタという車のコンセプトそのものを表現するために生まれた色だった。
一般的な黄色よりも少し青みを帯びた色調。
明るいのに子供っぽくない。
個性的なのに嫌味がない。
どこか北欧のプロダクトを思わせるような、軽やかでクリーンな印象を持っている。
一筆書きと呼ばれた独特なボディデザインとも非常に相性が良く、今見ても新鮮だ。
現在は3代目シエンタが大ヒットし、街中でも数多く見かけるようになった。
完成度で言えば、もちろん最新モデルも素晴らしい。
だが広い世の中には、この2代目のデザインに強いこだわりを持っている人がいるはずだ。
そしてエアーイエローという色に、特別な魅力を感じる人もいるだろう。
そんな方にとって、今回の個体は特別な存在だ。
なにしろ走行距離はわずか500km。
約10年という時間が流れた今、ここまでコンディションの良い2代目シエンタに出会う機会はそう多くない。
世の中全体で見れば、少数派の価値観かもしれない。
だがクルマ選びとは本来、そういうものだと思う。
数字ではなく。流行でもなく。
「このデザインが好きだ」
「この色が好きだ」
そんな純粋な理由で選ぶ喜び。
RESENSEとしては、そうしたこだわりを持つ方にこそ、ぜひ見つけていただきたい一台である。

18歳で免許を取ったその日から、好奇心と探究心のおもむくままに車を次々と乗り継いできた。あらゆる立場の車に乗ってきたからこそわかる、その奥深さ。どん...
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