• トヨタ / セルシオ(1999)

セルシオ物語(中編)

1989年、圧倒的なクオリティで登場し、世界を驚かせたセルシオ。 円高が進行していく中で、北米市場を主要ターゲットの一つとしながら、競合であるドイツメーカーの技術革新と向き合っていました。 そうした状況の中でもキープコンセプトを貫き、技術の先頭を走り続けるべく、今回の主役である2代目モデルが1994年に投入されます。

セルシオ物語(中編)

プラットフォームから徹底的な見直しが行われ、居住性向上のためホイールベースを延長。それでいて最小回転半径は小さく抑えられました。

先代から引き継いだV8・4.0リッターの1UZ-FE型エンジンは改良が加えられ、出力を向上。同時に、最大約110kgの軽量化も実現しています。

セルシオ物語(中編)

初代の課題として挙げられていたブレーキ性能についても対策が施され、フロントにはアルミ製対向4ポットキャリパーを採用しました。

小回りが利き、軽くなり、パワーが増し、しっかり止まる。クルマとしての基本性能を高い次元で磨き直したモデルと言えるでしょう。

セルシオ物語(中編)

グレード体系は大きく変わらず、A・B・C仕様のパッケージは継承されました。

一方で、安全性は明確に世界基準へと引き上げられています。運転席・助手席のサイドエアバッグを標準装備し、衝突安全ボディ「GOA」を採用しました。

衝突時にボディを変形させて衝撃を吸収するという考え方は、現在では当たり前ですが、この頃に広く普及していった技術です。

セルシオ物語(中編)

また、ゲート式シフトレバーも20系セルシオから採用されました。メルセデス・ベンツが保有していた特許が切れたタイミングでの導入とされています。

これをきっかけに、多くのメーカーが同様の方式を採用していきます。

セルシオ物語(中編)

こうした背景もあってか、A仕様とB仕様には「eRバージョン」も設定されました。ヨーロッパ志向のやや硬めの専用サスペンションを備え、本革シートとサンルーフを標準装備しています。

バブル崩壊後の市場環境の中で、ドイツ車志向のユーザーを取り込む狙いがあったと考えられます。

セルシオ物語(中編)

後期型では、横滑り防止装置(VSC)やブレーキアシストといった安全装備がさらに充実。加えて、レーダークルーズコントロールがオプション設定されるなど、長距離移動の快適性も高められました。

週末のゴルフなど、移動時間そのものを快適にする装備が用意されていたのも、このモデルの特徴です。

現在でも問題となっている盗難対策についても、このモデルから進化が見られます。エンジンイモビライザーは後期型から標準装備されました。

セルシオ物語(中編)

販売期間は1994年10月から2000年8月まで。累計新車登録台数は14万4,315台にのぼります。

初代より販売期間はやや長いとはいえ、当時の市場環境を踏まえれば、非常に優れた販売実績と言えるでしょう。

結果として、好評だった初代のイメージを大きく変えなかったことも、このモデルの成功を支えた大きな要因の一つでした。

セルシオ物語(中編)
Written By
HINATA NAGAI

絵本よりも中古車情報誌を隅々まで読み込んでいた幼い頃。それ以来、ずっとクルマに魅せられてきた。高校生の時に初めたInstagram「hinacars」では6年間で200...

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