- アウディ / TT 1.8 TFSI(2018)
何より華がある車
アウディといえばクワトロ、と連想する向きも多いだろう。しかしこれは違う。FF、それに珍しい1.8リッター。そんな車の価値を探る。というのが今回の試乗記である。

珍しい1.8×前輪駆動
レセンス編集部は、既に3代目アウディTTのテストを完了している。
1998年に第1世代が発売されて以来、累計50万台以上を販売したコンパクトスポーツは、現時点で3代目。前回のテスト車が、その最終モデルにあたる個体だった。
今回テストするのも同じ3代目。だが、こちらはマイナーチェンジ前。駆動方式はFFで、排気量も1.8リッターのものだ。珍しい。
3代目内のマイナーチェンジ前後で外観が変わっただけでなく、パワートレインの構成にも変化があった。本テスト車は2015年に3代目に切り替わったちょうど1年後の2016年8月に加わった「1.8 TFSI」なるモデルで、アウディの言葉を借りると「お求めやすい価格のエントリーモデル」ということになる。
1.8リッター4気筒ターボに7速Sトロニック(デュアルクラッチAT)を組み合わせ、新車価格は469万円で売り出された。
興味深い事に2019年4月には、カタログからひっそりと姿を消した組み合わせであり、FFモデルは残ったものの、排気量は2リッターに戻った点だ(10万円値上げもした)。
ほんのわずかな期間しか売られなかったモデルというのは、なぜだか惹かれるもの。これが今回のテストのきっかけになった(まったく我ながらマニアックな組織である)。
なお、内外装のデザイン等は前回の試乗記を下記から参照されたい。
<a href="https://www.resense.blue/post-33690">アウディTTクーペ(FF/7AT)歴史上、欠かせぬ車</a>
何より華ある選択肢
乗り始めてすぐに気づくのは、各操作部の軽さだ。特にステアリングは驚くほど軽い。かといってスローなわけではないため、動きに自然なリズムが生まれる。速度が増すと適度な重みになってくる。重みもドライブモードでも切り替えることができる。
車体全体の印象も軽い。フロントに荷重が集中するFF車であることが信じられないくらいに軽く仕上がっている。
クワトロ(4WD)とFFのドライバビリティの差は、よほど攻め込まない限りは感じづらい、というのが筆者個人の感想である。
乗り心地について。前提としてテスト車は18インチのTTS用ホイールをモディファイの為に装着し、タイヤはミシュランのパイロットスポーツ4Sを選んでいた。
TT特有の小刻みな上下動は感じ取れたが、意外にも初期入力は丸め込まれていた。どの速度域でも目線は上下に動くが、運転席/助手席ともに降りたくなるほど硬くはない。
むしろ車体の軽さ、堅牢なボディ、FFらしい軽快さとのマッチングの良さと捉えた。
どんな人にこの車が向くか?編集部員の例とともに考えたい。
編集部員(男性)の妻は、この個体と同じ、つまりFFかつ1.8リッターのアウディTTに乗っている。子どもは5歳と3歳だ。スーパーへの買い物、そして子どもの習い事の送り迎え(子ども2人が後部座席にすっぽり座る=秘密基地みたいでお気に入りだ)、友人と2人でお茶に行く際に使っている。同じ価格帯の実用車より、華がある。
休日は編集部員のドライブで使用される。適度にドライブを楽しんでストレス発散する。
こんな使い方であれば、FFかつ1.8リッターのTTはぴったりだ。たった短い期間しか発売されなかった惜しい車を存分に味わうチャンスがあるのもユーズドカーの醍醐味だ。