- シトロエン / C4ブルーHDi(2022)
不思議、大好き。シトロエン
シトロエンC4は、内外装、摩訶不思議。でも、走らせると、意外と(?)ねちっこくなく、むしろ爽快。そこも含めて不思議。詳しくなくとも、何だかいい車だなあ。なのだ。

シトロエンC4 どんな車?
シトロエンC4は、実質的にC4カクタスの後継車。C4カクタスは2014年デビュー。このC4は2020年にデビューしている。
弟分として、C3エアクロスが存在する。兄貴分はC5エアクロスとなる。2023年11月時点で、他にC3、C5X、ベルランゴがラインナップとして名を連ねている。
ボディサイズは全長×全幅×全高=4375×1800×1530mm。ホイールベース=2665mm。クーペSUVらしさは170mmの最低地上高ゆえである。
C5エアクロス/C5Xにはプラグインハイブリッドが用意されるいっぽう、C4はフルEVとガソリン/ディーゼルの3モデル構成。ガソリンは1.2リッター3気筒ターボ、ディーゼルは1.5リッター4気筒ターボとなる。
今回試乗するのはディーゼルのほう。最高出力130ps/3750rpmと最大トルク300Nm/1750rpmを発生する。WLTCモードにおける燃料消費率は22.6km/Lと謳われる。
1380kgの車両重量を支えるサスペンションは前:マクファーソンストラット、後:トーションビーム。タイヤサイズは前後ともに195/60 R18。テスト車は純正のミシュラン低燃費タイヤ「eプライマシー」を履く。
不思議、大好き。シトロエン
外観は、さりげなくも、ふしぎな事が各所で起こっている。たとえばフロントのホイールアーチ後ろ側。10時の位置からリア方向に向かってもうひとつラインが引かれる。
よく見ると、フロントボンネットにも、これまで見たことのない「えぐれ」が彫り込まれている。ラインではなく「えぐれ」だ。
リアもまたショルダーがふくよかに張り出し、それが複雑怪奇なテールライトにつながる。
理解できないってほどではないせよ、やっぱり変わっている。変わっているのに、全体を見渡すと均衡がとれている。そこには明確な往年のモデルへのオマージュも感じる。
この近影は、鋭角の三角形の上に、絶妙なバランスでシーソーのようにグラグラとゆれながらも、しかしなんとか保たれている木の板のような揺れ動きを感じさせる。
かといってエッシャーの版画のように「ありえない」世界にはいかない。頑張れば意図を汲み取れる「ぎりぎりのところ」にとどめている。一朝一夕ではなし得ない、デザイナーとコンシューマーの駆け引きのように感じる。
内装もまた同じ。見たことあるようで見たことのない。ないようで、ある。凝ったデザインという言葉で片付けるのは簡単。利便性と質感まで考慮された「ちょっと変わった」デザインが隅々までなされる。利便性と個性のバランス。これもシトロエンらしいところだ。
残るのは抜けのいい清々しさ
往年のシトロエンをイメージして腰掛けると少し平板に感じるシートは、30秒もすれば気のせいだと気づく。ふかふかではないけど、適度に沈み、適度に跳ね返す。むしろ十分に快適な部類に入るシートである。シートそのものの横幅が大きく、リッチに感じる。「アドバンストコンフォートシート」という名前は全くもって大げさではない。
ハンドルも決して細くはないが、かといって太すぎもせず、やわらかさも同様だ。
エンジンをオンにすると、たしかにディーゼルらしいカラカラ音が聞こえてくる。しかしそれは外からの話。室内にいる限り、音はきちんと抑制されている。8速ATもいい仕事をする。一般道で穏やかに静止加速する限り1500rpmちょっとで変速するおかげでむやみに回すこともエンジン音を鳴らすこともない。
そしてもっとも気になっていた乗り心地。シトロエンだけにハイドロニューマチックのごとく、ふわんふわんの乗り心地を期待する向きもいまだ多いのではないだろうか。
結論、乗り心地は素晴らしい。「ハイドロ」のような感覚は実はないものの、足さばきがよいとでもいおうか、ボディを完璧にフラットに保ったまま、タイヤが細やかに上下動し、うねりや突き上げを抑えてくれるのだ。軽量ホイールを履いた車のような、すっきりとした乗り心地の良さを感じられる。現代におけるシトロエンの答えはこれなのかもしれない。
リアウインドウの下端に一直線に伸びる左右のスポイラーやクーペボディゆえの視界の悪さを心配していたが、実際に乗ってみると、杞憂に終わった。こちらも好印象だ。
総じていい。シトロエンらしい個性がいい。それでいて面倒で厄介なところのない爽快さがいい。ドライブを終えて残ったのは、秋空のような抜けのいい清々しさだった。