- メルセデス・ベンツ / C63 AMG クーペ パフォーマンスパッケージ(2011)
迷っているのなら
メルセデス・ベンツC63 AMGクーペに乗って思う。くよくよと迷うならば思い切って乗って楽しんでみるがいい。これだけだ。

ジェットコースター
このページの主役は、204型と呼ばれる、3代目メルセデス・ベンツCクラスをベースにしたAMGモデル「C63」。そのなかでもクーペモデルで、いわゆる後期型にあたる。
AMGとは社名であって、1967年、ドイツ・ブルクシュタルに誕生。創業者2人の名前、ハンス・ヴェルナー・アウフレヒトとエバハルト・メルヒャーとアウフレヒトの生地グロスアスバッハの頭文字からとっている。
何よりアイコニックなのはエンジンで、C63 AMGは独自開発の6.2リッターV8自然吸気エンジンを鼻先に押し込む。487ps/600Nmを湧出し、7速ATを介して後輪だけに伝わる。
もう1つ、クーペに関する補足。セダンを短くしただけではなくルーフ位置が40mm低くなっている。座面高も下がり、座面と天井の距離がセダン+30mmとなっている。
またテスト車に組み合わされる「パフォーマンスパッケージ」について。外装は+1インチの19インチホイールやリアスポイラー(カーボン)が識別点。内装はステアリング形状/素材が異なる。制動力が高まり、LSDが組み合わされる。標準車より走り志向になっている。新車時は125万円のオプションであった。
発表当時の資料では加速について「ジェットコースター!?」と表現される。実際はいかに。
大排気量、バンザイ
デジーノと呼ばれる豪華内装版であるこのテスト車は、赤と黒のコントラストで派手。現在のCクラスに比べると直線基調の構成が多い。
ステアリング脇のスタートボタンを押すと、瞬時にフォンッ!と乾いた音が響き目覚める。
ドライブにレバーを引き下げてアクセルをゆっくりと踏むと、グググっと力強く加速する。車体後方からゴロゴロゴロとV8の音。地響きのごとき音があたりに反響している。
「ジェットコースター」と表現された加速については、ターボや電化も体験した今となっては、現代AMGのターボユニットの方がそれらしい。いっぽうで盛り上がりのドラマは、この自然吸気の圧勝。「気付いたらとんでもない速度」というよりも「パワーの湧き上がりから頂点までの過程を隅々まで味わえる」性格だ。
音質に関しても、現代AMGのバリバリ感とは異なり、音がゆったりと広がりと厚みがある。
乗り心地はAMGの例に漏れず良好。相応の突き上げはあるものの、そもそも車体剛性が高く、だから角が立ちづらい。収まりがいい。
AMG、だとか、6.2リッター、といった数字のイメージに対してまろやかさがあるのもこの時代のC63の特徴だと思う。今となっては変速スピードもリラックスしている。
日常から超高速域まで適応できるバンドの広さもAMGらしい特長といえる。
もし迷っているなら
この記事を真っ先にタップした人の中には、比較的手頃な価格になった今、購入をマジメに考えている人もいるのではないか。
そしてその中の多くが、この6.2リッター自然吸気ユニットに憧れをもち、しかしネンピやゼーキンに恐れをなしていることが想像できる。
しかしよく考えると、手頃になったとはいえ、ここ最近ほとんど価格の変化が見られない。であれば、恐れをなして、その10年後に「やっぱり一度は買っておくべきだったかな」なんて後悔するより、今乗っておくのも手。つらくなれば手放して、それでも大損はない!?
遠くない未来、電動車に切り替わる(可能性が極めて高い)転換期だからこそ、一度体験する価値があると思う。
将来、伝説の500Eみたいになる!と断言は出来ないけれど、少なくとも語り種になる車であることは間違いない。
悩んでいる暇がもったいない。
自分にもそう言い聞かせたい。