- ホンダ / シティカブリオレ(1985)
ブルドックの背中に乗って
多くのクルマ好きが、このクルマで運転の楽しさを知ったと語る。そしてクルマそのものを好きになったとも。その言葉が本当だということは、走り出してすぐに理解できた。

一体感
横置きのCVCC・水冷直列4気筒OHCエンジンは最大出力67ps/最大トルク98Nmを発生する。
正直、驚く加速感があるわけでない。
ただ、クルマを手の中で操る感覚はこれまでにない楽しさを感じた。
60km/hの法定速度に達するまでの時間は長い。
しかし、そこに到達するまでにアクセルを踏み、ギアを変える。
当たり前の操作だが、そのひとつひとつを急かされない。
そんな時間が心地よかった。
アナログに惚れる
現代では、マニュアル車がすでにアナログな存在だが、それを抜きにしてもこのクルマは全てがアナログな感覚。
乗り込んでシートを手動で合わせる。
暑いからレバーをくるくるして窓を開ける。
当たり前だが、この時代にスマートフォンは存在しない。
時間を見たければダッシュボード中央にあるシチズン製のアナログ時計に目をやる。
このクルマはカブリオレ。
当然ルーフも手動。
情報過多で、あらゆることがボタンひとつで完結する現代。その流れから、このクルマと過ごす時間だけは自然と距離を置くことができる。
思わず振り向く
このクルマの魅力は、乗り降りする前にすでに感じられる。
約3.4mの全長に対して、約1.6mの車幅、おまけに全高約1.4m。
このユニークなスタイリングは、何度だって眺めてしまう。
カブリオレは、“ブルドッグ”の愛称で知られるシティターボIIのワイドボディをベースとしている。ナンバーが左にオフセットされるのもいい。
そして、剛性を高めるためのルーフバーの付け根にロゴが追加されるように、カブリオレ化にあたっては、イタリアのピニンファリーナが開発に協力している。
たかがルーフと思いがちだが、計算されたスタイリングというわけで、単なる派生モデルではなく、きちんと手間をかけて仕立てられているところに当時のホンダらしさが見える。
想い馳せる
今回の試乗では、全てのシートに座った。
狭さを感じることもなく4人で乗ればちょうどいい距離感で会話も弾む。
それに、現在コンパクトカーにオープンモデルという新車ラインナップは国内にはない。
当時は若者でも手が届くオープンカーとして存在していたはずだ。しかし現在の視点で見ると、その発想そのものが贅沢に思えてくる。
このクルマが与えてくれる高揚感は、40年以上経った今でも驚くほど鮮度を失っていない。

絵本よりも中古車情報誌を隅々まで読み込んでいた幼い頃。それ以来、ずっとクルマに魅せられてきた。高校生の時に初めたInstagram「hinacars」では6年間で200...
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