- ランドローバー / ディフェンダー 90 75thリミテッドエディション(2023)
洗練、そして愛くるしさ
ランドローバー・ディフェンダー90 75thリミテッド・エディションの試乗記。象徴と洗練、さらに愛くるしさが備わっている。

生まれ変わったディフェンダー
本世代のランドローバー・ディフェンダーが世界でデビューし、注目を集めたのは2019年9月10日。第68回フランクフルト国際モーターショーでのことだった。
ランドローバーブランドには、高級/洗練を打ち出す「レンジローバー」ファミリー、多用途性を打ち出す「ディスカバリー」ファミリーの区分けがなされていたが、これに「ディフェンダー」ファミリーが加わる。つまり「ディフェンダー」は単なるモデル名のみならず、車種をひとまとめにしたグループ名でもあるのだ。
ディフェンダー・ファミリーは、その名の通り、ランドローバーにおけるファーストプロダクトの復活ののろしであるとともに、卓越した耐久性も魅力として打ち出す。
登場時は、ショートホイールベースの「90」、さらにホイールベースが長い「110」が並んだ。2022年6月には「130」も追加される。それぞれのサイズは以下の通り。
90
全長×全幅×全高=4583×1974×1996mm
ホイールベース=2587mm
110
全長×全幅×全高=5018×1967×1996mm
ホイールベース=3022mm
130
全長×全幅×全高=5358×2008×1970mm
ホイールベース=3022mm
車台はランドローバー史上最も頑丈なボディ構造をうたう「D7x」アーキテクチャーを採用。軽量アルミニウムによるモノコック構造。従来のラダーフレームの約3倍のねじり剛性だという。サスペンションは前後とも独立懸架式で、エアサスペンション、またはコイルサスペンションが選択できた。
75thリミテッド・エディション
この記事の主役、ランドローバー・ディフェンダー90は、限定車だ。
名前は「ディフェンダー75thリミテッドエディション」。2022年9月15日から10月16日まで受注され、225台が輸入されたといわれている(90が75台、110が150台)。
1948年、アムステルダムモーターショーで発表されてから2023年で75周年を迎えるに当たり、特別仕様車として、お出ましとなった。
いちばんの特長は、ディフェンダー初採用の「グラスミアグリーン」だ。20インチのホイール(スタイル5098アロイホイール)やセンターキャップも同じ色となる。
外観の細かい所では、75周年のグラフィック、そしてセレスシルバーに塗り分けられたバンパー、プライバシーガラスが特徴。
内装も随所に「グラスミアグリーン」のパーツが存在する。シートやセンターコンソールサイドのホッケースティックには、最も耐久性の高いファブリックがあしらわれる。
一見無骨な印象だが、11.4インチの大型タッチスクリーンや14ウェイ電動フロントシート、メリディアン・サウンドシステムなど、快適装備が備わっているのもモダンな印象をさらに強めてくれる。
思いがけない「90」の魅力とは
切り詰められた前後オーバーハングや直立したピラー、横開きのテールゲートにつくスペアタイヤなど、初代ディフェンダーのアイコンがこの世代に引き継がれている。
インテリアも同様。ふつうは隠している構造物や装具をあえて露出。モダンなデザインに昇華しつつ、しかしシンプルかつ無骨なイメージを表現する。床面に敷かれる耐久性の高いラバーマットも、「そそる」ポイントだ。
発表当時、チーフ・デザイン・オフィサーのジェリー・マクガバンは「これまでの歴史をリスペクトしながらも、過去に囚われてはいません」と語っていた。
2リッター直列4気筒ガソリンエンジンも、その存在をことさらに主張することなく、しかし力強く、なめらかな仕事をする(300ps/400Nm)。最大トルクの発生回転数が2000rpmと比較的低いことから、2190kgの車体であっても頼れるものだった。
そして乗り心地がいい。20インチとはいえ60扁平。トレッド面の角も丸い。結果、フットワークが軽く、ふわりとしている。これはディフェンダーのほぼすべてのモデルに共通する魅力でもある。初代も同じだ。
90というショートボディであることから後席の居住性が気になっていたが、乗り込んでしまえばアシを伸ばせるほどの余裕がある。
前後左右ともに見切りがよく、これはまあ、初代ディフェンダーそのものの出自を考えると当然のことだが、扱いやすく、技術的に進歩し、さらに愛くるしいアイコンさえ残っているのだから、もはや「無敵」といっていいだろう。それともう1つ。この世代には「ステータス性と迫力」も備わる。1000万円を越えるプライスタグに対し、満足出来る見返りがあることが約束された車である。