CLAシューティングブレーク

メルセデス・ベンツCLAは、Aクラスをベースとしたクーペサルーンだ。さらにそれをベースにしたのがCLAシューティングブレーク。シューティングブレークとは、現代、クーペとステーションワゴンの融合だと捉えられる。

CLAの荷室容量が460Lであるのに対し、シューティングブレークは505Lと公表されており、実用性もわずかながら向上した。ボディサイズはほとんど同値である。

そしてAMGである。CLA 45S 4マティック＋を名乗っている。やはり目玉は、この世代のAクラス系AMGモデルのために新設計した2リッター直4ターボではあるまいか。

発表時、量産される2リッター直4としては世界最高の421psと500Nmを発生。インテークマニホールドがエンジン前方に、エグゾーストマニホールドやターボチャージャーが後方に位置し、搭載位置を下げるのもポイント。操縦性と空力の観点で利する。

外観はワイルドになり、フロントフェンダーは12mmワイドに。リアを見ると、大型ディフューザーや円形マフラーが特徴となっている。

中身はかなりの頭脳派キャラ

エンジンをオンにするやいなや、ヴァオーンと大きな音が響いた。回転が落ちつつ、パラン、パラパラとアフターファイヤー音。本当にストックのマフラーなのか、あるいは車検適合なのかと疑いたくなる迫力だ。

車体全体が塊のように引き締まっているのは、ノーマルのCLAに対して、エンジン下部にアルミプレートが加わり、ストラットタワーバーも追加されているからだろう。アンダーボディの前後にも斜めのストラットが加わる。

255/35 R19という扁平タイヤゆえ、コツコツとした小さな突き上げは不可避。一方、頼り甲斐あるステアリング剛性と、AMG 4マティック＋のお陰で、安心感がある。

この可変配分4WDは、前後100：0から50：50までリアアクスルに内蔵された多板クラッチによって連続可変制御される。車速、前後左右の加速度、高く、ホイール間の回転速度さ、ギア、アクセル開度によって制御が切り替わる、有能っぷりである。リアのデフ内の多板クラッチ2つが左右後輪の回転差まで感知しトルクを分ける。スリリングではあるが、怖さはない。リアが出しゃばらない安心感もこの車の魅力だと感じる。

そのままの状態でサーキットまで楽しめそうだ。行きたい…。

エンジンのスムーズさも興味深い。2リッター4気筒エンジンとしては信じられないくらいの数値を誇るけれど、車が多くなかなか前に進まない環境からワインディングまで柔軟性に飛んでいる。一昔前のチューニングエンジンからは考えられない優等生ぶりだ。

マニアックな内容に終始した

ここまで書いてきて、メルセデスAMGの比較的手の届きやすい車格にあるモデルだが、随分とマニアックな内容だと感じた。

ここにこそ、この車の魅力が凝縮している。

奥様が涼しい顔で普段のお買い物に使うとしても十分な柔軟性である。運転支援システムの充実も有り難い。休日、旦那様が峠道、いやサーキットに持ち込んだとしても、不足なく楽しめる能力がある。

さらに「シューティングブレーク」の魅力。あまり他とかぶらないデザインかつ担保された実用性。性能とルックスのギャップも良い。

それともう1つ。シューティングブレークのほうが、エグゾーストノートの室内反響が大きく迫力がある。あくまで個人調べではあるけれど、間違いないと思っている。