- アルピナ / B4グランクーペ アルラット(2024)
グランクーペというアルピナの答え
アルピナは2025年末をもって、ブッフローエを拠点とした従来の開発・生産体制に幕を下ろしました。2026年からはBMWグループ傘下の独立したブランドとして、新たな歩みを始めています。 それでも中古車市場では、今なお独自の存在感を放っています。

歴史を振り返ると、かつてはBMWの幅広いラインナップをベースにモデルを展開していたアルピナ。その晩年に、新たなボディスタイルとしてラインナップに加わったのが、2022年に登場したB4グランクーペでした。
先代の4シリーズベースではクーペとカブリオレのみが用意されていましたが、現行型で初めてグランクーペが採用されます。
興味深いのは、伝統的な3シリーズセダンをベースとしたB3が存在するにもかかわらず、あえて4シリーズ グランクーペをベースに選んだことです。
両者はパッケージや基本装備に共通点も多くあります。しかし決め手になるとすればやはりスタイリングでしょう。
ボディサイズはB3セダンと大きく変わりませんが、4シリーズ グランクーペは幅広く、低く構えたプロポーションが特徴です。
走りの軽快さを重視するならB3にも魅力がありますが、B4にはルーフからリアエンドへと流れる、クーペならではの優雅なシルエットがあります。そしてドアを開ければ、クーペ譲りのサッシレスドアが特別感を演出します。
同じような使い方ができる2台なら、より個性を求めるアルピナだからこそグランクーペがよく似合います。
このモデルはアルラット、つまり四輪駆動車です。
ベースとなるBMWのxDriveには、アルピナ独自の制御が施されています。後輪駆動らしい走りの感覚を大切にしながら、四輪駆動ならではの安定感とトラクションを引き出しています。
駆動力配分を後輪寄りとすることで、かつてのFRモデルに通じる 背中を押されるような加速感 を残しているのです。そして自然な回頭性と安定感を両立している理由は、それだけではありません。
足元には、アルピナの象徴である20本スポークのクラシックホイールを装着。20インチの鍛造ホイールには、専用開発されたPIRELLI P ZEROが組み合わされ、快適な乗り心地と確かなグリップ性能を実現しています。もちろんサスペンションもアルピナ独自のセッティングです。
ボンネットを開けると、車体の剛性を高めるために採用された、ドームバルクヘッド・ストラットと呼ばれる補強パーツが目を引きます。
その奥には、最高出力495PSを発生する3.0リッター直列6気筒ビターボエンジンが収まっています。0-100km/h加速はわずか3.7秒。アルピナが公表する巡航最高速度は301km/hに達します。
その高性能を支える車内空間もまた特別です。
今回の個体では、深みのあるアルピナブルーのボディに、明るいアイボリーのヴァーネスカレザーが組み合わされています。スポーティな外観から一転、室内には穏やかで上品な空間が広がります。アクティブシートベンチレーションも備え、長距離を快適に移動するというアルピナの思想が、装備の面にも表れています。
インフォテインメントシステムには、BMW譲りのデジタルメーターとナビゲーションを採用。ただし、メーターにはアルピナならではのカラーリングが与えられ、運転席に座った瞬間から特別なモデルであることを意識させます。
そしてエクステリア。アルピナブルーとクラシックホイールの組み合わせは、まさに定番中の定番です。フロントスポイラーやリアの4本出しマフラーも専用デザインとなっています。
今回の個体には、アルピナの伝統的なデコラインがありません。アルピナブルーとクラシックホイールだけで、その素性は十分に伝わってきます。装飾を控えることで、グランクーペ本来の美しいプロポーションがより際立っているように感じます。
ボディ各部にはアルピナのロゴが与えられている一方で、エンブレムはBMWのまま。この控えめな主張こそ、アルピナらしい魅力のひとつです。
セダンのB3も魅力的ですが、優雅さと実用性を兼ね備えたグランクーペは、アルピナというブランドの世界観により自然に溶け込んでいるように感じます。
使い勝手も性能も申し分ない。
アルピナ・B4グランクーペは、アルピナ最後の時代を象徴する一台です。

絵本よりも中古車情報誌を隅々まで読み込んでいた幼い頃。それ以来、ずっとクルマに魅せられてきた。高校生の時に初めたInstagram「hinacars」では6年間で200...
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