ジャガーのセダンといえば、一目でそれと分かるデザインと、イギリス車らしさが凝縮されたフラグシップ、XJシリーズを思い浮かべる方も多いでしょう。
そのラグジュアリーな英国の空気感を、より日常に近い距離で味わえるのがXFです。
同じ輸入車であっても、日本で多く流通するドイツ車とは、考え方も魅せ方も異なります。
500ps超のV8、3.0LのV6、そして最後に追加されたこの2.0Lエンジン。
どのパワートレインであっても、ウッドとレザーが似合う世界観を崩さない——そこに、このクルマの軸があります。
後期型で追加された2.0L直列4気筒ターボ。
排気量だけを見れば、それまでのXFが持っていた“大排気量サルーンらしさ”とは異なる選択にも映ります。
しかし、240ps/34.6kgmというスペックは十分以上。
最大トルクも2,000回転付近から発生し、日常域で扱いやすい力強さを備えています。
走り出してすぐ、その性格が見えてきます。
単なるダウンサイジングではないということが、自然と伝わってくるはずです。
このエンジンは、フォード傘下時代の開発背景を持つ2.0L直噴ターボユニット。
いわゆるエコブーストと思想を同じくする設計で、効率とパフォーマンスの両立を狙ったものです。
同系統のエンジンは、スポーツモデルやSUVにも展開されてきた実績があり、その特性は折り紙付き。
大排気量が主流だった英国サルーンにおいても、違和感なく馴染み、むしろ扱いやすさという新たな価値を与えています。
そして内装も、この個体の大きな魅力のひとつです。
黒一色にまとめられがちな同クラスのセダンとは異なり、ベージュレザーのシートに、ブラウンとシルバーが織りなすインテリア。
視覚的にも質感的にも、しっかりとした特別感があります。
10wayパワーシートやMERIDIANサウンドシステムなど、装備面も充実。
移動そのものを、より快適で豊かな時間に変えてくれます。
この世代のジャガーらしいディテールとして、ステアリング中央のロゴも印象的です。
力強さを感じさせながら、どこか愛着の湧く造形が、英国車らしい余韻を残します。
トランク容量は500L。
後席を倒せばさらに拡張でき、セダンとして十分以上の実用性も確保されています。
そしてこの個体は、走行距離2.3万kmという低走行。
整備記録簿も10枚と、これまで丁寧に扱われてきたことがうかがえます。
同条件の輸入セダンはいくつか存在しますが、このベージュ内装とカーネリアンレッドメタリックの組み合わせは、XFならではの魅力でしょう。
さらに、大排気量モデルが主流だった英国車の中で、この2.0Lエンジンは日本の生活環境にもよく馴染みます。
英国車をこれまで選択肢に入れてこなかった方にも。
そして、XFという存在を今回初めて知った方にも。
無理なく日常に取り入れられる“英国の王道”として、素直に勧めたくなる一台です。

永井陽向 Hinata Nagai
絵本よりも中古車情報誌を隅々まで読み込んでいた幼い頃。それ以来、ずっとクルマに魅せられてきた。高校生の時に初めたInstagram「hinacars」では6年間で2000台以上の写真と解説を投稿。最新モデルから名車と呼ばれるクラシック、そして誰も気に留めないような隠れた一台まで。日々クルマとの新しい出会いがあり、そのたびに胸が高鳴る。その“ワクワク”を、クルマオタクとしての視点で丁寧に言葉へ落とし込みながら、読者のクルマ人生をより豊かにしていきたいと考えている。








