プジョー・206CC(2006)一粒で三度美味しいクルマ

日常に溶け込む存在だったからこそ、いま良質な個体は少ない。電動メタルトップでクーペとオープンを行き来しながら、肩の力を抜いて過ごす時間そのものを楽しませてくれる一台だ。

日常に溶け込む存在だったからこそ、いま良質な個体は少ない。電動メタルトップでクーペとオープンを行き来しながら、肩の力を抜いて過ごす時間そのものを楽しませてくれる一台だ。

日常に寄り添うがゆえに

これほどまでに、時を経てもチャーミングなクルマは他にあるのだろうか。

プジョー・206は、これまでRESENSEでも何度か扱ってきたモデルだ。

本当は、もっと多く紹介したい。そう思わせる魅力が、このクルマにはある。

だが実際には、状態の良い個体を見つけるのは簡単ではない。

プジョー・206CC(2006)一粒で三度美味しいクルマ

当時のプジョーは、日本でフランス車を大きく普及させたブランドだった。
206は特別な存在というより、多くの人の日常に寄り添う存在として広く愛されたモデルでもある。

その結果、低走行でコンディションの良い個体は驚くほど少なくなってしまった。

今回の個体は、走行距離3万8000km。
この数字だけでも、その希少性は十分に伝わってくる。

プジョー・206CC(2006)一粒で三度美味しいクルマ

三度どころでなく

206の中でも、このCCは特別なモデルだ。

最大の特徴は、メタルトップによる電動オープン機構。
クーペとしてのスタイルと、オープンカーとしての開放感。

よく「一粒で二度美味しい」と表現されることが多いが、206CCの場合は少し違う。

プジョー・206CC(2006)一粒で三度美味しいクルマ

屋根を閉じたときのクーペスタイルは美しく、
開けたときには軽快なオープンの表情を見せる。

さらにそこに、プジョーらしいデザインの華やかさが加わる。

まさに、一粒で三度美味しいクルマと言える。

プジョー・206CC(2006)一粒で三度美味しいクルマ

この個体には、もうひとつ面白いポイントがある。

装着されているのは、206RCの17インチホイール。
スポーツモデル用のホイールがこのCCに組み合わされることで、スタイリングはぐっと引き締まり、より精悍な印象になる。

プジョー・206CC(2006)一粒で三度美味しいクルマ

ただ、ここで大切なのは、このクルマを“スポーティ”という文脈だけで語るべきではないということだ。

もちろんホイールサイズの影響で、乗り味の印象はわずかに変わる。
フランス車らしい柔らかなタッチは、少しだけ引き締まるかもしれない。

だが、このクルマに関しては、そうした細かな違いを分析すること自体が、どこか野暮に感じられる。

プジョー・206CC(2006)一粒で三度美味しいクルマ

クルマとの時間を楽しむ

206CCは、スポーティさを突き詰めるための存在ではない。

むしろ、クルマをもっと気軽に、もっと自由に楽しむための道具だ。

屋根を開けて、気持ちのいい空気を感じながら走る。
カフェに立ち寄る。
海沿いを流す。
少し遠回りして帰る。

そんな何気ない時間を、少しだけ特別なものにしてくれる。

プジョー・206CC(2006)一粒で三度美味しいクルマ

どこかフランス人のライフスタイルのように、肩の力を抜いて、おおらかに、そしてカジュアルに。

クルマを所有するというより、クルマと一緒に時間を楽しむ。

スペックを語るよりも、スタイルを楽しむ。
速さを競うよりも、時間を味わう。

おしゃれで、少し遊び心があって、そして人生を楽しんでいる人。
そんな人こそが、このクルマのオーナーにいちばん似合うのだと思う。

プジョー・206CC(2006)一粒で三度美味しいクルマ

時代は変わり、クルマはどんどん合理的になった。
だが206CCには、合理性だけでは語れないチャーミングな個性がある。

それは、きっとこれからも変わらない。

そして改めて思う。

フランス車は、クルマというより“生活文化”なのだ。

206CCは、その楽しさを教えてくれる、とても魅力的な一台である。

プジョー・206CC(2006)一粒で三度美味しいクルマ
  • 河野浩之 Hiroyuki Kono

    18歳で免許を取ったその日から、好奇心と探究心のおもむくままに車を次々と乗り継いできた。あらゆる立場の車に乗ってきたからこそわかる、その奥深さ。どんな車にも、それを選んだ理由があり、「この1台のために頑張れる」と思える瞬間が確かにあった。車を心のサプリメントに──そんな思いを掲げ、RESENSEを創業。性能だけでは語り尽くせない、車という文化や歴史を紐解き、物語として未来へつなげていきたい。

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