- メルセデスAMG / GT 4ドアクーペ 63 S 4マティック+(2020)
怒涛の「全部載せ」
メルセデスAMG GT 4ドア・クーペ63 S 4マティック+は、全てを兼ね備えている。全体としてはスポーツ寄りだ。

打倒、パナメーラ
メルセデスAMG GT 4ドア・クーペ。モデル名から2ドアスポーツであるAMG GTの4ドア版であることがわかる。
ここ日本では、4リッターV8ツインターボ(M177型)搭載のGT 63 S 4マティック+、3リッター直6×ISGのGT 53 S 4マティック+ならびにGT 43 S 4マティック+の3モデルが布陣を固める。都心でもなかなか見ることがないモデルだが、そのラインナップから日本市場への本気度がうかがえる。
GT 63 S 4マティック+は639ps/5500-6500rpm、900Nm/2500-4500rpmを発揮。4WDシステムは前後50:50から0:100まで自動制御。後輪操舵システムは、100km/hを境に、それ以下では逆位相(1.3°)、それ以上は同位相(0.5°)となる。
これらのシステムを、全長×全幅×全高=5050×1955×1445mm、ホイールベース:2950mmの車体に収める。
ライバルはBMW M8グランクーペ(全長×全幅×全高=5105×1945×1420mm、ホイールベース:3025mm)、ポルシェ・パナメーラ・ターボS(全長×全幅×全高=5049×1937×1427mm、ホイールベース:2950mm)となる。
数値面では、パナメーラ・ターボSへの強い意識を感じるのは私だけだろうか。
圧倒的 動的性能
GT 63 S 4マティック+でまず気付くのは、メルセデスが作る4枚ドアのクーペサルーンから想像するよりも遥かにスポーティである点。それはシートのポジション、目覚めた直後のエンジン音などからそう感じさせる。
実際の走りもそうだ。特に「スポーツ+」モードにおけるサスペンションはかなり引き締まっている。路面の凹凸を正直に拾う。ボディが上手く吸収してくれる感覚があるため、路面を超える度にウッと唸るほどではないが、このクルマの意図は明白である。
先述の4WSのおかげもあり、5mを超える全長からは想像できないくらいタイトな走りに驚く。例えばコーナーは、自分の経験よりも遥かに速く曲がり終えている感覚がある。
勇ましい(本当に勇ましい)サウンドとともに集中して走っていると、コックピットから降りて「そうだよな、4ドアだったよな」なんて思うくらいにスポーティだ。よく走る。
一方ですべての走行モードを緩めて穏やかに走ると、「ちょい辛口のメルセデス」くらいの感覚で移動できる。9段ATの変速は回転系のニードルを目で追うことで初めて感知するくらい小刻みでなめらかだし、外から入ってくるウインドノイズもほとんどない。もっともタイヤノイズばかりは、ダイナミックな走りのためのトレードオフ(リアのトレッドは295だ)と受け入れざるを得ないが、それよりも強烈なダイナミクスと、正反対にあるリラクゼーションの振り幅の大きさに感動する。
出自の違い現れる
ライバルのポルシェ・パナメーラ・ターボは針に糸を通すような、とも言うべきか、スポーツカーに近い(ほぼ等しい)走りを実現する。目的がしっかりと明確で、ブレない車だと考えている。
一方GT 63 S 4マティック+は、常用域のレベルの高さと、見た目を完璧に裏切るタイトな走りの両立で、より幅広い人を魅了する車であるはずである。
こうなったら、どれを選ぶかは、好みの領域だといえる。もしもあなたが車のダイナミクスを第一優先するストイックな性格であれば、パナメーラ・ターボだろう。一方、快適な移動から激しいドライビングまで幅広い用途を想定するのであればGT 63 S 4マティック+ということになるだろう。後者はよりオールラウンダーであると感じる。
パナメーラ・ターボも日常域で快適な類ではあるが、やはり両者、一流のスポーツカーメーカーあるいは一流の実用車メーカーといった出自の違いが製品に明確に現れている。
あなたの好み次第だ、というのはそういう理由である。