- ミニ / カントリーマン S ALL4(2024)
ミニでしか得られない高揚感
自然なドライビング・サウンドに、鮮やかなブルーと遊び心に満ちたインテリア。大きく上質になっても、乗る人の気分を軽やかに変えるミニらしさは健在だ。

最初に惹かれたのは音
走り始めて、まず印象に残ったのは音だった。
アクセルを踏み込むと、低く力強い音が車内に広がる。スポーツカーを思わせる気持ちのいい響きだが、会話を邪魔するほどうるさくはない。日常のなかで気分を少し上向かせる、ちょうどいい音である。
この世代も、そのひとつ前の世代も、これまで触れる機会が多かったのはディーゼルやEVだった。だから最初は、これがガソリンモデル、それもS ALL4ならではの魅力なのだと思った。
ところが、そのすべてがエンジンや排気系から生まれた音ではない。実際のエンジン音に重ねて、スピーカーから「ドライビング・サウンド」と呼ばれる疑似サウンドが流れていたのである。
疑似サウンドと聞けば興ざめしそうなものだが、このカントリーマンでは不思議と違和感がない。
EVモデルの擬似音が、電気自動車であることをあえて楽しむような未来的な音色だったのに対し、こちらはガソリンエンジンの回転へごく自然になじんでいる。キックダウンやエンジンブレーキで回転数が上がる場面でも、音の変化がきれいに重なる。
そして、もう一度その音を聞きたくなる。前方が開けば、少しだけアクセルを深く踏みたくなるのだ。出どころを知ったあとでも気分が冷めないなら、よくできた演出として素直に楽しめる。
大きくなって楽しみも増えた
先代のミニに乗っている人が新しいカントリーマンを見れば、まず大きさに驚くかもしれない。
全長4445mm、全幅1845mm。昔ながらのミニを基準にすれば、ずいぶん立派になった。家族や荷物をしっかり受け止める、頼れるSUVである。
しかし、実際に運転してみると、大人になりすぎたという心配は思いのほか早く消える。
S ALL4は、2リッター直列4気筒ガソリンターボに7速DCT、四輪駆動のALL4を組み合わせる。街中では穏やかに走り、アクセルを深く踏めば素早くギアを落とし、気持ちのいい音とともに勢いを増す。
最上位のジョンクーパーワークスほど肩に力が入っておらず、速さを持て余すこともない。買い物にも使え、人も荷物も載せられる。それでいて、ひとりになれば少し遊べる。
小さな車体をきびきび動かす従来の楽しさとは違うが、ミニの楽しさを持ち出せる場面は確実に増えている。
真面目だけでは選ばれない
新しいカントリーマンには、ドイツ車らしい走りの落ち着きがある。ただ、真面目なだけなら、ほかにも選択肢はたくさんある。
今回の個体は、ブレージング・ブルーのボディにブラックルーフを組み合わせ、足元には18インチのアステロイド・スポークを履く。室内はブラック/ブルーのベスキンレザーとファブリックを使ったクラシックトリム。外から中まで青がゆるやかにつながり、一台としてきれいにまとまっている。
さらにMパッケージによって、メモリー機能付き電動シートや運転席のアクティブ・シート、harman/kardonのサウンドシステムなども備わる。
新世代ミニを象徴するのが、円形OLEDディスプレイを中心としたインテリアと、ミニエクスペリエンス・モードである。画面表示や照明、ダッシュボードへ投影される光、ドライビング・サウンドまでが連動して変化する。
従来の遊び心を崩さず、室内は明らかに上質になった。革や木目の重厚さへ寄せず、布地や光、色、音で独自の空間をつくる。この雰囲気は、ほかのブランドでは味わえない。
初めてでも、次の一台でも
初めて輸入車を選ぶとき、少し構えてしまう人は多い。
操作は難しくないか。普段使いで困らないか。おしゃれだけれど、実用性はどうなのか。その点、カントリーマンは輸入車の世界へ入るための間口が広い。
運転支援や360度カメラも充実し、後席や荷室も現実的に使える。それでいて、国産SUVとは明らかに違う色や素材、画面、音の使い方がある。
すでにミニに乗っている人にとっては、その世界観を手放さずに広さや快適さを増やせる。ドイツ車を乗り継ぎ、そろそろ違う景色を見たくなった人にも面白い。
人とは違うクルマに乗りたい。しかし、珍しさだけを目的にはしたくない。おしゃれも実用性も諦めたくない。
そんな少し欲張りな気持ちを受け止めるのが、このカントリーマン S ALL4である。
乗るたびに、いつもの移動が少しだけ楽しくなる。ミニを選ぶ理由は、案外それだけで十分なのだ。








