- ランドローバー / レンジローバー ヴェラール Rダイナミック SE(2017)
レンジローバーの新たな価値
レンジローバー・ヴェラールは、イヴォークとスポーツの中間に位置する。走りも内外装もレンジローバーに新たな価値を付加した。

ヴェラールの立ち位置
レンジローバー・ヴェラールは、レンジローバー・イヴォークとレンジローバー・スポーツの中間に位置するモデルだ。
といっても、サイズはレンジローバー・スポーツに迫るもの。
ヴェラールは
全長:4820mm
全幅:1930mm
全高:1665mm
ホイールベース:2875mm
対するスポーツは
全長:4855mm
全幅:1985mm
全高:1800mm
ホイールベース:2920mm
イヴォークは
全長:4335mm
全幅:1900mm
全高:1635mm
ホイールベース:2660mm
全長と全幅はスポーツに近く、全高はイヴォークに近い。実物はずいぶんスポーティだ。
この世代のヴェラールはグレード/トリムレベルが多いのも特徴(のちにレンジローバーはこの構成を反省している)。
基本仕様とスポーツ仕様(Rダイナミック)が2本柱となり、それぞれに標準トリム/S/SE/HSEへと枝分かれする。パワートレインはディーゼル1種類にガソリン3種類。
選択肢が現代の車にしては珍しく多い。
今回のテスト車はRダイナミックのSE。3リッター直列6気筒ガソリンスーパーチャージドエンジンは、380ps/6500rpmと450Nm/3500rpmを生む。
車重は2060kg。テスト車はオプションの21インチホイールに、ミシュランのラティチュードを組み合わせていた。ガソリンモデルは電子制御エアサスペンションを装備する。
ヴェラールを見てみる
レンジローバー・ヴェラールは数値スペックでイメージするよりも、低く、伸びやかなデザインだと感じた。イヴォークがコロリと愛嬌のあるフォルムであるのに対し、ヴェラールはそれを前後にギュッと引っ張ったように見える。レンジローバー・スポーツほどボンネット高が高くないから、迫力よりも流麗さが際立って見える。レンジローバーはよい隙間を見つけ、そこにレンジローバーなりの解を差し込んだのである。
ピラーに用いるブラックアウトした樹脂パネルが傷つきやすい点はすぐにでも改善してほしい。
乗り込むと、レンジローバーに共通したデザイン言語でありながら、ずいぶんスポーティに感じる。レンジローバー・スポーツやレンジローバーの、いわゆるコマンド・ポジションではないからである。
テクスチャーは凝ったもの。決して皮革や金属素材をふんだんに使っているわけではないが、どこか上質なかんじがする。これを「うまく魅せている」というのだろう。
ずいぶんとなだらかにルーフラインが後方に向かって落ちているため後席の環境を心配していたが、身長170cmの私がドライビングポジションを合わせた状態で後席に乗り込むと、膝は拳ひとつ、頭上も拳ひとつの隙間があった。イヴォークでいつもうんざりしていた身としては、ありがたい実用レベルだ。
荷室容量はVDA方式で568リッター。後席が40:20:40の分割可倒式であるのもありがたい。シートを倒せば1375リッターまで拡大できる。
新たな価値を加えた車
走り出しは、3リッター直列6気筒らしいゆとりのあるもの。ガソリンらしい吹け上がりで、パワーに不足はない。室内に香ばしいエンジン音が入ってくる。パワートレインの存在をミュートしがちな昨今、これが癖になるという向きも少なからずいるだろう。
ヴェラールはトラディショナルな金属バネを備えるモデルの評判が悪い。ブワブワと落ち着きがなく、前後の整合性がとれていないゆえか、酔う人が私の周りで多い。
いっぽう、先述の通り、テスト車はエアサスを組み合わせている。レンジローバー・スポーツのふわふわとした浮遊感と異なり、エアサスとはいえ芯がしっかりしたキャラクターで、カーブの多い所でも路面をしっかりと捉え続けている印象だ。ステア操作に対する反応も、ポルシェなどのスポーツSUVほどではないが、ずいぶんと機敏である。
つまるところ、走りにかかわる大部分がスポーティな内容にまとまっており、明確なキャラクターづけが(少なくともこのグレードでは)なされているのである。
レンジローバーにあらたなキャラクターが加わったと捉えられよう。大歓迎である。
4人家族の小旅行から、お父さんと仲間うちでのゴルフ、奥様のお買い物までオールマイティにこなせるレンジローバーを探しているのであればヴェラールが全てを、過剰にならない範囲で叶えてくれる。
そのうえ単独でドライブにでても、P380ならば楽しませてくれる。こっそりお伝えすると、2021年のモデル改定でこの3リッター直列6気筒エンジンは消失している。
グレードやトリム、サスペンションの組み合わせでたくさんの選択肢から自分にあったものにたどり着く愉しさもあろう。
ヴェラールは、レンジローバーのモデル群に新たな価値を加えた。