ルノー・アルピーヌV6ターボ(1990)触れた瞬間、虜になる

車体後部にエンジンを搭載し、後輪を駆動するRRレイアウト。

採用例としては、フォルクスワーゲン初代ビートルやポルシェ911といったドイツ車がよく挙げられます。

車体後部にエンジンを搭載し、後輪を駆動するRRレイアウト。

採用例としては、フォルクスワーゲン初代ビートルやポルシェ911といったドイツ車がよく挙げられます。

しかし、かつてのフランス車にも、この方式を採用したモデルは存在しました。

大衆車で培ったノウハウを、スポーツカーへ落とし込む。

その発想から生まれた一台が、ルノー・アルピーヌV6ターボです。

ルノー・アルピーヌV6ターボ(1990)触れた瞬間、虜になる

1984年デビューのクルマと聞けば、誰もが驚くほど近代的なデザインを備えています。

フラッシュサーフェイスを思わせる、段差や突起を抑えたボディ。

空気抵抗を示すCd値は、驚異の0.30です。

ルノー・アルピーヌV6ターボ(1990)触れた瞬間、虜になる

FRP製ボディならではの軽さと造形自由度が、この数値を支えました。

鋭く低いフロントノーズ。なだらかなルーフラインは、そのままリアスポイラーへとつながります。

この一台には、ほかではなかなか出会えない造形美があります。

ルノー・アルピーヌV6ターボ(1990)触れた瞬間、虜になる

エンジンはリアハッチを開け、さらに内部のフードを開くと姿を現します。

搭載されるのは、2.5リッター水冷V型6気筒SOHCターボ。

最高出力200ps、最大トルク290Nmを発生します。

0-100km/h加速は約6秒台前半。当時としては十分に高性能な一台でした。

なお、この個体は熱対策として、ワンオフ製作の真鍮ラジエーターを装備しています。

ルノー・アルピーヌV6ターボ(1990)触れた瞬間、虜になる

インテリアに目を向けると、そこには非日常の世界が広がります。

見たことのない造形のシート。しかもオプションのブラックレザー仕様です。

手掛けたのは、巨匠マルチェロ・ガンディーニ。

コックピット感は濃厚で、メーター類はドライバーへ向けて配置され、シフトノブもステアリング近くに置かれています。操作の無駄を削ぎ落とした設計です。

2+2レイアウトゆえリアシートも備わりますが、役割としてはあくまで緊急用でしょう。

ルノー・アルピーヌV6ターボ(1990)触れた瞬間、虜になる

人とは違うデザインで、走りも良いクルマは世の中に数多くあります。

しかし、アルピーヌV6ターボには、もうひとつの特権があります。

給油すら、格好いいのです。

給油口がどこにも見当たらない。

RRだからタンクは前にあるはず……そう推測しながらフロントフードを開けると、ようやくその姿を現します。しかも前ヒンジで開くのです。

ルノー・アルピーヌV6ターボ(1990)触れた瞬間、虜になる

こうした、所有して初めて知る仕掛けが積み重なっていく。

気づけば、その魅力の深みへ引き込まれている。

アルピーヌV6ターボとは、そうやって人を虜にし続けるクルマなのです。

ルノー・アルピーヌV6ターボ(1990)触れた瞬間、虜になる
  • 永井陽向 Hinata Nagai

    絵本よりも中古車情報誌を隅々まで読み込んでいた幼い頃。それ以来、ずっとクルマに魅せられてきた。高校生の時に初めたInstagram「hinacars」では6年間で2000台以上の写真と解説を投稿。最新モデルから名車と呼ばれるクラシック、そして誰も気に留めないような隠れた一台まで。日々クルマとの新しい出会いがあり、そのたびに胸が高鳴る。その“ワクワク”を、クルマオタクとしての視点で丁寧に言葉へ落とし込みながら、読者のクルマ人生をより豊かにしていきたいと考えている。

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