- ボルボ / S90(2017)
前期T6だけが持つ走りの質
滑らかで美しいクーペのようなフォルムを持つS90は、ボルボのフラッグシップセダンです。 ボルボといえばワゴンの印象が強いブランドですが、フラッグシップセダンにも独自の魅力があります。

近年のディーラーではSUVラインナップが主役となり、街中で見かけるのもXCシリーズが中心です。
そのため、輸入セダンを検討する際に「S90という選択肢を知らなかった」という方も少なくないはずです。
その個性が最も色濃く表れているのが、この最初期のS90 T6 AWD インスクリプションです。
日本市場では、T6 AWDモデルが台数限定で導入され、当初はそのまま販売終了となる予定でした。
スウェーデン本国生産という点も特別感を高めています。
好評を受けて再販された際は、T6ではなくハイブリッドのB6へ移行し、後年追加されたT8プラグインハイブリッドはバッテリー搭載により車重が大きく増加し、T6が持つ軽さという美点は薄れていきます。
S90の魅力は、このクラスとしては珍しい成り立ちにあります。ドイツ勢では上位モデルになると6気筒や8気筒も設定されることが多いですが、ボルボは直列4気筒のみで勝負しました。
その利点は軽さとコンパクトさであり、T6はその弱点を補って余りあるパワーを備えています。
2.0リッター直列4気筒DOHC16バルブにターボとスーパーチャージャーを組み合わせ、最大出力320ps/最大トルク400Nmを発生。
ボルボ最大のSUVであるXC90ともエンジンを共有しており、そのパワフルさは折り紙付き。XC90よりも軽量なS90では、その力強さがより鮮明に感じられます。
一方で後期のハイブリッドモデルはスペックこそ大きく変わらないものの車重が増え、ボルボが狙った軽くてハイパワーによるハンドリングの良さはT6でこそ際立ちます。
AWDの安定感も相まって、このモデルが持つ走りの質は特別です。
グレードはインスクリプション。
限定販売の中でもRデザインとインスクリプションでキャラクターを分けており、インスクリプションはRデザインよりも当時100万円高い設定でしたが、装備差は非常に大きなものでした。
ガラスサンルーフ、Bowers & Wilkinsの19スピーカーサウンドシステム、専用20インチホイール。ホワイトのファインナッパレザーシートにはシートヒーターやベンチレーションが備わり、フラッグシップらしい上質さが全身に宿っています。
前期型ならではの身軽さ、スーパーチャージャーによる滑らかな加速、そして豪華装備。
この組み合わせは後期型にはない最初期T6だけの世界観です。
ボルボからの乗り換えはもちろん、初めてのボルボとしても、このモデルが持つ独自の魅力に惹かれる方は多いはずです。
さらに走行距離は2.2万km。前期T6インスクリプションという希少な仕様に加え、このコンディションも今後は簡単に出会えるものではないでしょう。
派手さはありませんが、知る人ぞ知る魅力を持った一台でした。

絵本よりも中古車情報誌を隅々まで読み込んでいた幼い頃。それ以来、ずっとクルマに魅せられてきた。高校生の時に初めたInstagram「hinacars」では6年間で200...
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