フェラーリ・ポルトフィーノ(FR/7AT)高い完成度であるゆえに

フェラーリ・ポルトフィーノ(FR/7AT)高い完成度であるゆえに

フェラーリ・ポルトフィーノを、カリフォルニアTと比べざるを得ない。そして見えてくるのは、全領域における完成度の高まり。そして一部は突出している点だ。

ポルトフィーノとカリフォルニアT

フェラーリ・ポルトフィーノが世界発表されたのは2017年8月。ここ日本では2018年2月に公式発表された。

ルックスからも分かる通り、カリフォルニアTの実質的な後継である。ポルトフィーノのボディサイズは全長×全幅×全高=4586×1938×1318mm、ホイールベース=2670mm。カリフォルニアTが4570×1910×1322mm、2670mmであることを考えると、ホイールベースはそのままに、ボディは少しずつ大きくなったという表現で差し支えないだろう。

とはいえ中身は変わっている。ボディ骨格やシャシー、フロアパネルは新設計で、開き方が変わらぬ電動リトラクタブル・ハートドップまでもが軽くなっている。

その他、中空コンポーネントの採用やパーツ点数のダイエットなどでカリフォルニアTよりも80kg軽くなった。乾燥重量は1545kg。ボディサイズを考えたら軽い。

ボア×ストローク=86.5×82mmの3.9リッターV8ターボは、給排気の改良で40psと5Nmの強化を果たす。600ps/7500rpm、760Nm/3000-5250rpm。中でも最大トルクはカリフォルニアT世代で755Nmを4750rpmで発生した。低回転の厚みと+500rpmの拡幅も走りに影響を与えるだろう。

ポルトフィーノ乗り手の目を覚ます

エアインテークの拡幅やエアロ構造の変化で、低く、幅広く構えている様に見える。

赤や黄色などの派手な色で塗られているわけではないのに、京都の街ではよく注目を集めた。撮影の為に路肩で待機していると外国からの旅行客はサムアップして微笑んだ。屋根を開けるとシャイな日本人も写真を撮った。

インスツルメントパネルの構成はカリフォルニアTによく似ているけれどボタン点数は減り、インフォテインメントスクリーンは大きくなったりと現代化されている。

ステアリング上にある赤いボタンを押すとエンジンが目覚めた。低く、太く、荒々しく、シートを介して排気の振動が伝わってきた。

アクセルを踏み続け、前進していると、2000rpmあたりからひと段落音量が増す。4000rpmを超えると音が高くなる。加速はまっすぐ伸びる太い大木のように揺るぎない。ターボの魅力だなと感心する。マネッティーノのスイッチをカチリと切り替えスポーツモードにすると、さらに音の抜けが良くなる。

乗り心地は明確によくなっている。車体全体にまとまりが増した。重心高が下がり、トレッドが大きくなったような安定感がある。剛性増も、遥かに効いている感触がある。屋根を開けても対角線方向の捩れは感じない。

E-Diff3/F1-Trac/EPS等の統合電子制御にも磨きがかかっているというが、これは正直、京都の街中を流したていどではわからなかった。またチャレンジする日を待ちたい。

さらにアクセルを踏み込むと、継ぎ目のない怒涛の加速。フェラーリの中ではGT的位置づけにあるが、世の中ではスーパーカーである。ステア操作にやや過敏気味にノーズが動き、緊張感はクライマックスに。

硬軟両面を合わせ持つフェラーリが、このポルトフィーノである。

実にドイツ的 着実な進化を遂げた

カリフォルニアについて、かつて「何でも叶えてくれえる」と感想を述べた。

それは、だらだらと一般道を走っても、中速域で快音を鳴らしても、またワインディングを積極的に走らせても、すべてが高得点に達するという意味合いを込めてのことだった。

対するポルトフィーノは、それぞれの得点がさらに底上げされた。中には100点近いものもある。外観は好みが反映されるとしても、特にダイナミクスは100点の世界が見える。

これだけの完成度でありながら、いや、完成度であるゆえに、一般道でも快適かつ濃密なフェラーリの味を楽しめるのだ。と思う。

外観の変化以上に、内面が磨かれた。華やかさばかりが目立つイタリア車、しかしこれは実にドイツ的な着実な進化を遂げた。

SPEC

フェラーリ・ポルトフィーノ

年式
2018年
全長
4586mm
全幅
1938mm
全高
1318mm
ホイールベース
2670mm
トレッド(前)
1630mm
トレッド(後)
1640mm
車重
1664kg
パワートレイン
3.9リッターV型8気筒ターボ
トランスミッション
7速AT
エンジン最高出力
600ps/7500rpm
エンジン最大トルク
760Nm/3000-5250rpm
サスペンション(前)
ダブルウィッシュボーン
サスペンション(後)
マルチリンク
タイヤ(前)
245/35 ZR20
タイヤ(後)
285/35 ZR20
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