- マセラティ / ギブリ(2017)
AMGに飽きたなら
マセラティ・ギブリの歴史を簡単に振り返りつつ、エクステリア/インテリアを見つめ、テストドライブする。その結果マセラティ・ギブリにしかない魅力が浮き彫りになった。

二転 マセラティ・ギブリ
マセラティ・ギブリ。と、一言で言えど、その歴史はスタイル/立ち位置ともに二転した。
初代がデビューしたのは1966年のこと。ウェッジシェイプ・デザインの2名乗車。低く構えたジウジアーロの代表作だった。
初代ギブリは7年間の現役時代を終え、カムシンにバトンを渡した。
2代目は「ギブリII」として名前が復活した。1992年のこと。初代とは打って変わって2ドア4シーターになる。5年間販売された。後継は3200GT。ここでもギブリの名が途絶える。
そして2013年、現行型(3代目)がデビューする。4ドア5シーターのセダンタイプになる。このときマセラティは2015年までに5万台/年の目標を掲げており、ギブリもその成功を期待された。この時点でSUVのレヴァンテの姿はまだなく、同社のセダンに対するプライドを個人的には感じたものだった。
現行型ギブリをもう少し深堀りしていこう。
エクステリアとインテリア
ギブリはいわゆるEセグ・セダンではあるけれど、ボディサイズはかなり大きい。
兄貴分としてクアトロポルテがあるからギブリは一回り小さいイメージがあるかも知れないが、全高は20mm、全幅は3mm小さいのみ。ホイールベースは173mm、全長は291mm短いのがポイントとなる。
全幅はポルシェ・パナメーラやメルセデス・ベンツSクラスより大きい、とお伝えすれば、そのサイズ感がお分かり頂けるだろうか。
ヘッドライトは低い位置にあり、リアに向けてラインが立ち上がる。リアフェンダーはグッと膨らむ。リアフードの意匠は先代ギブリに少しだけ似ているように思える。
テスト車の内装はレッドとブラックのレザーによる2トーン。革はしっとりとして適度な張りがある。ダッシュボード中央にはアナログ時計がある。適度にカーボンパーツが散りばめられ、ゴージャスさだけでなく、アグレッシブさも予感させる。後部座席も172cmの筆者にとって申し分ないスペースだった。
基本的にコンフォート寄り
走り出して驚くのは乗り心地の良さだ。テスト車はスカイフックサスペンション装着車であるとアナウンスされており、一般道ではふわりふわりと路面のうねりを丸め込む。
一方でこのまま九十九折に突入すると、ステアリングレシオを含めて「曲がらない」という感覚に陥る。きちんと荷重を移して丁寧に切り込みパワーを伝えれば問題ないが、どの様な速度域であれバランス力で動きが整うBMW的な身のこなしとは異なる類だ。
スポーツモードに切り替えると適度に引き締まる。が、快適性は損なわれない。その後、試しにモードを維持したまま通って来た道を折り返したが、硬くて嫌になるということはなかった。適度なスポーツ性がモードによっては叶いながら、しかし基本的にはコンフォート寄りのキャラクターである。
音については、特に過去のV8自然吸気搭載のマセラティと比すると物足りなく感じるのは事実としか言いようがない。しかしV6ターボという視点で考えると刺激的。4枚ドアのサルーンという視点であれば超刺激的。
私はかねてよりVWグループが造るV6ターボ(CWF等)を好んでいるが、それらよりももっとワイルドで鋭く音量が大きい。
メルセデスAMGに飽きたら
マセラティ・ギブリがどの様な人に向くのだろうかと考えてみた。取材時のメモを振り返ると「AMGに飽きたなら」という走り書きが目に入った。
高性能サルーンがメルセデスAMGにもラインナップされているけれど、ギブリは内外装がよりセクシーである。自分だけでなく、助手席の住人もまた、艶やかな空気にちょっぴり緊張しながら、しかし最終的にはリラックスできるのではないだろうか。
記号性や好戦的な姿勢とは距離をおいたマセラティ独自の空気感に見を浸すことができる。それも比較的リーズナブルな価格帯で。
新しい世界を覗いてみたい人もいるはずだ。
