アウディ・オールロードクワトロ 2.7 T(4WD/5AT)高低の妙、正義の車高
オールテレイン、ダカール、ステラート、オールロードクワトロ。RESENSE読者なら瞬時にカタチとメーカーが浮かんだことだろう。これは伝説のクワトロを想起させる。

いわば派生モデル
オールロードクワトロは、A4とA6をベースとした、いわば派生モデル。
車高を上げ、ホイールアーチが加わる。サイドシルや前後バンパー下にもガードがつく。ようするにワゴンタイプのSUV版。
日常とアドベンチャーをいったりきたりする。副次効果として乗り心地の良さもよく知られているオールロードクワトロの長所だ。
初代オールロードクワトロのデビューは1999年。2代目A6アバント(ワゴン)がベースだが、A6を名乗らず「オールロードクワトロ」のみのネームである。
タイヤは大きくなり、前:マルチリンク/後:ダブルウィッシュボーンはエアサスペンションで、最低地上高を142〜208mmまで上下できる。
2.7リッターV6ツインターボと、4.1リッターV8のパワートレインが用意された。テスト車は前者。国内では2500台弱が登録されたといわれている。
2代目は2005〜2011年。3代目は2012〜2019年、4代目は2019年から続く。
同じ文脈でA4にもオールロードクワトロが用意されている。
今見ても美しい
先述の通り、2代目A6アバント(C5)をベースとして開発された初代オールロードクワトロは、生で見ると、なんともいえぬ重厚感がある。
現代アウディのすっきり軽やかな佇まいもいいけれど、たとえばTTやA2と同じく、この時代のオールロードクワトロは、どっしりと、そして中身が詰まったような、分厚い鉄板を使ったような重厚感なのだ。
グリルは小ぶりで、ボディ面のクープも最小限だ。空気が中から膨張するような、パンと張ったデザインはミニマルで、今見ても美しいと思う。
この重厚感は車内にも受け継がれる。
たとえばグレーで統一されたスイッチ類。色はもちろんだが、デザイン、押し心地に至るまで考え抜かれているように思える。
一見無機質に思えなくもない内装にウッドが盛り込まれるのだが、違和感の無さは見事だ。結果、冷たさはなく、むしろ温かささえある。ゴージャスだ。
期待していた乗り心地も見事。レンジローバーいらずだとさえ思えた。
車体はゆったりと動きつつ、やわらかく路面の凹凸を抑え込む。かといって無駄な動きはなく、まるで船のようだ。
まったりと粘り気のあるトルクを生む2.7リッターエンジンも、オールロードクワトロ全体の濃密な空気感の重要なパートだ。
これほどリッチで濃厚な味わいを体験したら、好むと好まざるとにかかわらず、モダンなアウディを実に薄味と感じざるを得ないだろう。
ある意味不幸なことかもしれない。でもこの乗り味を知らずして、アウディを、いやクルマさえ語ることはできないかもしれない。
それくらいにこの初代オールロードクワトロは、学びの多い車なのだ。






